「悪質タックル」から1か月──。日本大学の内田正人・前監督は学生アメフト界から“永久追放”され、日本大学常務理事も辞任が決まった。ここまで時間がかかったのはなぜか。日大関係者がいう。
「内田氏は人事担当の常務理事で、田中英壽理事長が築き上げてきた体制の実質的なナンバー2だった。単に親しいから内田氏を切りづらいといったレベルの話ではなく、現在の田中体制の“収益構造”は内田氏と彼をトップとするアメフト人脈なしに成り立たないと言ってもいい。簡単に切り捨てられなかった」
傍目には不可解にも映る日大の“体制維持”への執着──その背景には、7万人の現役生と100万人のOB組織から生まれる巨大な日大マネーの存在が見え隠れする。
日本大学の資金収支計算書(2016年度)によると、年間収入は2740億円に上り、日大に次ぐ学生数2位の早稲田大学の1476億円を遥かに凌ぐ。
この2740億円のうち授業料収入は1070億円で、早稲田大学の662億円、慶応義塾大学の535億円にダブルスコアに近い差をつけている。さらに私学助成金や地方自治体からの公的補助の金額も145億円と、早稲田大(114億円)を3割も上回っている。
ただし、こうした収入については、使途等に数多くの制約がある。大学ジャーナリストの石渡嶺司氏がいう。
「大学は文部科学省の認可事業なので、私立学校振興助成法で『学校経営の安定』を重んじた会計手法が求められます。キャッシュフローが減ったからといって、トップの判断で民間企業のように簡単にリストラに走ることもできません」
※週刊ポスト2018年6月15日号