かつて日本男児を熱狂させたボクシングが、再びブームの兆しを見せている。きっかけは、WBA世界バンタム級王者の井上尚弥(25)、WBA世界ミドル級王者の村田諒太(32)という2人のスターの誕生だ。
「井上はデビュー以来負けなしで16勝のうち14がKO勝利というハードパンチャー。村田は五輪金メダリストからプロ転向し、ミドル級というもっとも選手層の厚い階級で王者に上り詰めた。何より2人が近年の日本人王者と違うのは、本当の“世界最強”を目指している点です。最近は世界タイトルを認定する団体が増えたため、なるべく勝てそうな王者を選んで挑戦する某ファミリーのようなボクサーも増え、正直ファンもげんなりしていた。
ところが井上と村田は、団体の枠を超えた統一王者を目指して強い相手に挑もうとしている。昔からのファンもワクワクしていますよ」(ボクシング担当記者)
そんななか、世間に衝撃を与えたのが5月に行なわれた井上のWBAバンタム級世界戦だった。10年間無敗のイギリス人王者、ジェイミー・マクドネルを試合開始わずか112秒でTKO。これにはボクシング観戦歴40年の俳優、酒井敏也も興奮を隠せない。
「1976年の輪島功一と柳済斗の再戦から見続けていますが、井上選手は歴代の日本人王者のなかでも最強じゃないでしょうか。最後のラッシュは殺気を感じましたし、こんなに興奮したのは久しぶりですよ。最近はよくボクシング仲間と、昔の選手と今の選手を戦わせたらどっちが強いだろうって話をするんです。それこそ井上選手と具志堅(用高)、村田選手と竹原(慎二)が戦ったらどうなるんだろうって」