融和ムードに騙されたのか、日本メディアは朝鮮半島有事について真剣に論じようとしない。そんな中、北朝鮮のミサイルによる日本攻撃の危険について警告を発する書、『迫りくる北朝鮮の核の悪夢(The Coming North Korea Nuclear Nightmare)』が3月に刊行された。著者は、中央情報局(CIA)や国務、国防両省、さらには連邦議会で25年以上、北朝鮮の核兵器や弾道ミサイルの動きを追ってきたフレッド・フライツ氏である。ジャーナリストの古森義久氏が報告する。
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フライツ氏は日本が北朝鮮のミサイルの脅威に対して有効な自衛手段をまったく持たないことへの懸念を自書のなかで表明している。
「日本の憲法は日本に向けての発射が切迫した北朝鮮のミサイル基地を予防攻撃することを許さない。アメリカに向け発射されたミサイルを日本上空で撃墜することも認めない。憲法9条の規定により日本領土外の敵は攻撃できず、同盟国を守るための軍事行動もとれないのだ。日本は自国の防衛を正常化する必要がある」
憲法9条から派生する専守防衛、そして集団的自衛権禁止という年来の日本の防衛態勢の自縄自縛が北朝鮮のミサイルへの防御をも阻んでいるというわけだ。
脅威はミサイルに留まらない。ビンセント・ブルックス在韓米軍司令官は3月中旬の米議会への報告で、北朝鮮が世界最大規模の特殊工作部隊を保有していることを指摘した。さらに北のサイバー攻撃能力がグローバル規模に拡大し、約6000人の要員が暗躍していると証言した。