昨年は「96敗」という歴史的大敗を喫した東京ヤクルトスワローズ。立て直しを託されたのが、宮本慎也ヘッドコーチと石井琢朗打撃コーチの両氏である。ともに1990年代を代表する遊撃手として知られる名手であり同い年でもある彼らは、どのように現状を把握し、チームを再建しようとしているのか。
──ここ数年のヤクルトの低迷の原因として、選手の故障がとにかく目立つ印象があります。
石井:そもそも主力が30歳オーバーばかりなんですよ。
宮本:30歳を過ぎたら、体のどこかはケガをしているものだし、原因は一つではないからハッキリとはわかりません。ただケガに強いかどうかは、若い頃の貯金が関係していると思います。
石井:若い頃にしっかり土台を作ってきた選手は、多少のケガでは壊れない。建物と一緒。いくらいい上物があっても、土台がしっかりしていないとガタが来る。
宮本:これは琢朗も同じだと思いますが、正直今の30歳過ぎの選手たちに対しては、「お前らより絶対に俺たちの方がやっていた」という自負はありますよ。だから20代の若手には、シーズン中でもトレーニングを強制しています。阪神の金本(知憲)監督が引退した時、「もっとバットを振っておけば良かった」と言った。その言葉をどう感じるか。若い頃はどれだけ練習しても足りないんです。
石井:ウチは30歳オーバーか若手ばかりで、中堅どころがいない。でも下からの突き上げがない。
宮本:多少打てなくても守備さえ良ければ出せるんですけどね。廣岡(大志)なんかも、開幕はチャンスを掴んだけど、もう少し守備を何とかしないと。