赤白のワイングラスを手に、「喜びも二倍」と笑みを浮かべる二人の女性。第71回日本推理作家協会賞短編部門を受賞した降田天(ふるた・てん)氏は、大学時代の同級生同士による「ユニット作家」だ。
彼女たちは共同生活をしながら、萩野瑛氏(右)がプロットを立て、鮎川颯氏が小説に仕上げるスタイルで執筆活動を続けてきた。5月28日に行なわれた贈呈式では、「ミステリー界の藤子不二雄」と協会理事長の今野敏氏が述べ、会場が大きく頷く一幕も。
受賞作「偽りの春」は高齢者を対象にした詐欺事件がテーマ。「読者の予想を次々に覆し、意表をつく展開に落とし込む筆力は並のものではない」と、選考委員を務めた逢坂剛氏も絶賛した。
目指すのは、江戸川乱歩賞など数々の賞を受賞したコンビ作家・岡嶋二人氏だと口を揃えた両氏。二人三脚で紡がれる物語に、今後も注目したい。
◆撮影/山崎力夫
※週刊ポスト2018年6月15日号