ボクシングブームが再燃している。振り返れば、日本人が最もボクシングに熱狂した瞬間が、1965年に行なわれたファイティング原田vsエデル・ジョフレの世界バンタム級「世紀の一戦」である。
当時の世界バンタム級王者ジョフレは、8度の防衛戦をすべてKOで勝利し、「黄金のバンタム」と呼ばれていた。そのジョフレに判定勝ちを収め、翌年のリターンマッチでも退けた原田は当時、大相撲の大鵬やプロ野球の長嶋茂雄に匹敵する国民的人気を集め、ジョフレとの再戦は63.7%という視聴率を記録した。
今回、「史上最強の日本人ボクサーは誰か」と長くボクシングを見てきた週刊ポスト読者1000人にとったアンケートで2位になった原田を史上最強のボクサーに挙げる声は多く、ボクシングライターの原功氏もその一人。
「歴代最強との呼び声も高いジョフレに2度も勝ち、いずれの試合もフルラウンドにわたって連打し続けた驚異のスタミナは不動の1位ではないか」
ガッツ石松も原田こそ最強と断言する。
「団体が一つしかなく、階級が細分化されていない時代にフライ、バンタムを制覇した。敵地でダウンまで奪って“疑惑の判定”で負けにされたフェザー級も獲っていたと仮定すると、今でいう6階級制覇だよ。スタミナと連打の印象が強いけど、本当に卓越していたのはディフェンス技術。柳に風という感じで、打たれているように見えてダメージはもらっていなかった」