芸能

寺島しのぶ 新しい監督の才能を発信するのがこれからの使命

寺島しのぶが「監督」について語る

 映画史・時代劇研究家の春日太一氏がつづった週刊ポスト連載『役者は言葉でできている』。今回は、出演映画『のみとり侍』が全国東宝系にて公開中の女優・寺島しのぶが、ベルリン国際映画祭で銀熊賞を受賞した『キャタピラー』の若松孝二監督との思い出などについて語った言葉をお届けする。

 * * *
 寺島しのぶは二〇一〇年、若松孝二監督の映画『キャタピラー』でベルリン国際映画祭の最優秀女優賞(銀熊賞)を受賞している。

「ちょうど、本当にやりたいこと以外の仕事をやめようと思っていた時期でした。そんな時に台本を渡されました。低予算映画だったので台本も明らかに手作りと分かる紙っぺらみたいなものでした。でも、それを読んだ時の衝撃といったらなかったです。すぐに『やらせていただきます』とお返事しました。若松監督にお逢いした時に、『これで海外で女優賞を取らせます。監督賞を取るより、女優賞を取る方が日本では観てもらえるから』と言われたんです。

 撮影は大変でした。予算のない現場でしたからみんな何役もこなしていました。夕方までに全てを撮り終えてしまった時は、監督は『明日の分もやっちゃおうか』とおっしゃる。それでも自分はそれほどくたばってはいないだろうと思っていましたが、全身に蕁麻疹が出て、血尿も出てしまいました。でも、変なアドレナリンが出ているから『やるしかない!』という感じでしたね。

 私って、何を見せるのもあまり怖くないんですよね。隠したい部分がないんです。

 スタッフさんには怒鳴る監督でしたが、それでも監督が好きだからみんな必死にやるんです。『ボスがこれだけやってるんだったら、俺たちもやらなきゃな』という気持ちにさせてくださるんです。

 この映画は蜷川幸雄さんも観てくださって。『そうだよ。俺が言いたかったのはこれなんだよ』と言ってくださったのが嬉しかったですね」

 公開中の映画『のみとり侍』は〇七年の『愛の流刑地』と同じ鶴橋康夫監督作品だ。

関連記事

トピックス

田村瑠奈被告(右)と父の修被告
「ハイターで指紋は消せる?」田村瑠奈被告(30)の父が公判で語った「漂白剤の使い道」【ススキノ首切断事件裁判】
週刊ポスト
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
暴力団幹部たちが熱心に取り組む若見えの工夫 ネイルサロンに通い、にんにく注射も 「プラセンタ注射はみんな打ってる」
NEWSポストセブン
10月には10年ぶりとなるオリジナルアルバム『Precious Days』をリリースした竹内まりや
《結婚42周年》竹内まりや、夫・山下達郎とのあまりにも深い絆 「結婚は今世で12回目」夫婦の結びつきは“魂レベル”
女性セブン
騒動の発端となっているイギリス人女性(SNSより)
「父親と息子の両方と…」「タダで行為できます」で世界を騒がすイギリス人女性(25)の生い立ち 過激配信をサポートする元夫の存在
NEWSポストセブン
宇宙飛行士で京都大学大学院総合生存学館(思修館)特定教授の土井隆雄氏
《アポロ11号月面着陸から55年》宇宙飛行士・土井隆雄さんが語る、人類が再び月を目指す意義 「地球の外に活動領域を広げていくことは、人類の進歩にとって必然」
週刊ポスト
九州場所
九州場所「溜席の着物美人」の次は「浴衣地ワンピース女性」が続々 「四股名の入った服は応援タオル代わりになる」と桟敷で他にも2人が着用していた
NEWSポストセブン
初のフレンチコースの販売を開始した「ガスト」
《ガスト初のフレンチコースを販売》匿名の現役スタッフが明かした現場の混乱「やることは増えたが、時給は変わらず…」「土日の混雑が心配」
NEWSポストセブン
希代の名優として親しまれた西田敏行さん
《故郷・福島に埋葬してほしい》西田敏行さん、体に埋め込んでいた金属だらけだった遺骨 満身創痍でも堅忍して追求し続けた俳優業
女性セブン
佐々木朗希のメジャーでの活躍は待ち遠しいが……(時事通信フォト)
【ロッテファンの怒りに球団が回答】佐々木朗希のポスティング発表翌日の“自動課金”物議を醸す「ファンクラブ継続更新締め切り」騒動にどう答えるか
NEWSポストセブン
越前谷真将(まさよし)容疑者(49)
《“顔面ヘビタトゥー男”がコンビニ強盗》「割と優しい」「穏やかな人」近隣住民が明かした容疑者の素顔、朝の挨拶は「おあようございあす」
NEWSポストセブン
歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
天皇陛下にとって百合子さまは大叔母にあたる(2024年11月、東京・港区。撮影/JMPA)
三笠宮妃百合子さまのご逝去に心を痛められ…天皇皇后両陛下と愛子さまが三笠宮邸を弔問
女性セブン