採用面接が解禁される6月を迎え、就職活動はヤマ場を迎えている。近年、新卒採用の現場で、企業側が学生を大学名によってふるいにかける「学歴フィルター」の存在がたびたび露見してネットで炎上している。そうしたフィルターは志望学生が殺到する人気大手企業でのみ使われているわけではない。その理由について、『学歴フィルター』(小学館新書)を上梓した就職コンサルタント・福島直樹氏が解説する。
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学歴フィルターは人気大手企業でのみ使われているわけではない。むしろ、大手企業の子会社で使われることが多い。
理由はこうだ。大手総合商社や大手マスコミ、大手金融、大手メーカーなどの人気企業の事務系総合職は、熱意ある就活生が集中し、ハイレベルな競争が繰り広げられている。そんな状況もあり、中堅レベルやそれ以下の大学、あるいはいわゆるFラン大学の学生の中には最初から諦めて避ける人も少なくない。反対に、中小企業では受けに来る上位大学の学生が極端に少ない。
その点、大手企業の子会社には上位大学からFラン大学まで満遍なく学生が受けに来る。上位大学の学生は大手企業の冠に惹かれ、中堅大学やそれ以下の大学の学生も、あくまで子会社であり大手企業本体ではないので気後れしないからだ。
このように幅広く学生が集まる企業において、すべての学生を面接するには手間と時間がかかり過ぎるため、学歴重視で採用しようとすれば、大手企業以上に学歴フィルターを使う動機が強く生じるのだ。
【プロフィール】ふくしま・なおき/1966年長野県生まれ。就職コンサルタント。上智大学文学部卒業後、大手広告会社勤務を経て、93年より就職に関わる執筆、講演活動、学生の就職支援を行う。最新刊に『学歴フィルター』(小学館新書)がある。