長い人生において、時として家族よりも頼りになるのが「友人」である。だからといって、老後の友人は多ければ多いほどいいわけではない。
三菱総合研究所のシニア調査と、それに追加項目を加えたマーケティングアナリスト・三浦展氏が主宰するカルチャースタディーズ研究所の調査によると、ひとり暮らしの男性は友人が多ければ多いほど幸福になる訳ではないという結果が出ている。むしろ友人が3~5人という男性が「幸せな人」の54%を占める。三浦氏はこう解説する。
「男性は闘争心や競争心が強く、人が集まり過ぎると『俺のほうが偉い』『俺のほうが物知りだ』と争いになりやすい。しかも“歳を取ると人間が丸くなる”という通説は間違っていて、年齢とともに我慢が利かなくなる人もいる。シニア男性は友人が増えるほどトラブルになる可能性が増すため、3~5人くらいがちょうどいい」
たくさんの人の連絡先を知っているよりも、気軽に連絡が取れる友人が数人いた方が幸福度は上がるのかもしれない。遠くにいる一人の親友より、近くにいる友人との交流のほうが幸福度が高くなる結果も出ている。
「飲み屋などでふらっと会え、お互いに近況を報告しあえるような友人がいるほうが“遠方の親友”がいるよりも幸福度が高くなるでしょうね。また職場でできた友人は競争相手だったこともあり、腹を割って話す関係性になりにくい。要するに、友人は“広く薄く”よりも“近くに数人”のほうが幸せになりやすいんです」(三浦氏)