競馬の予想ファクターとして切っても切れない要素が「時計」。馬がどの距離をどんなタイムで走ったか、明確に数字で示される。調教師・角居勝彦氏の週刊ポストの人気連載「競馬はもっともっと面白い 感性の法則」より、「時計」の信頼性についてお届けする。
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分からないことばかりの競馬の中で、時計こそが絶対的客観性があるように思えます。そのとおり、持ちタイムの信頼性はやはり大きい。いいタイムを出せる馬には、確実に能力がある。特に短距離レースほどタイムの優劣は重要です。
ただし、ペースによって走破タイムは違ってきます。新馬戦をマイル1分36秒ぐらいで勝った馬が、その次の重賞で2秒ぐらい速いタイムで勝つことはめずらしくない。
そこで最後の3ハロン(600メートル)をどれぐらいの速さで走るか、いわゆる「上がりタイム」に注目してみてはどうでしょうか。
道中常に同じペースで走るのではなく、脚力をゴール板に向けて爆発させる能力──道中の「タメ」が効いてこそ出せることができます。優秀な上がりタイムを出せる馬は、どのレースを走っても信頼性がある。
ただし、上がりタイムは信頼できるものの、その馬が絶対に勝つかというと、そうはいかないのも競馬です。