ライフ

難病「ギラン・バレー症候群」 26年ぶり新規治療の可能性

医師が難病ギランバレー症候群について解説

 ギラン・バレー症候群は細菌やウイルスによる風邪や下痢の後、1~2週間後に発症する急性の多発性神経障害だ。末梢神経が障害されるため、両手両足が痺れて力が入らなくなったり、呼吸ができなくなるなどの症状が急激に進行する。日本における発症は年間約1400人だが、今までにかかったことがある患者数は10万人以上と推計されている。患者のうち、約半分は数週間ほどで、ほぼ回復する。しかし、残りの20%に立てない、歩けないなどの後遺症が残り、死亡例も5%程度ある。

 千葉大学大学院医学研究院神経内科学の桑原聡教授の話。

「風邪や食中毒などによる下痢が治った後、急に両方の手足が痺れる、力が入らないなどの症状が出たら、ギラン・バレー症候群を疑い、早めに神経内科を受診することが重要です。この病気は末梢神経が障害されるので、多数の神経が死んでしまうと再生が難しくなります」

 風邪や胃腸炎の原因となる細菌やウイルスは何万種もあるが、その中の一部に特別な構造を持つ菌がいる。例えば、食中毒の原因菌で一番多いカンピロバクターの一部には、体内に入ると菌の表面にガングリオシドという物質を発生する菌種がある。菌が入ると身体はガングリオシドに対する抗体を作り、細菌を攻撃する。一方、このガングリオシドは神経の表面にもある。体質的に抗体を作りやすい人の体内では、産生された抗体が神経細胞のガングリオシドを細菌と間違え攻撃する。これが病気の起こる仕組みだ。

 従来は血漿交換療法と免疫グロブリン療法が主に行なわれているが、26年ぶりに急性期の後遺症を減らす治療法を桑原教授らが開発した。これは赤血球夜間ヘモグロビン尿症薬として承認されている「エクリズマブ」という薬剤を用いる治療で、有効性を診る医師主導治験が実施された。

関連キーワード

関連記事

トピックス

寄り添って歩く小室さん夫妻(2025年5月)
小室眞子さん第一子出産で浮上する、9月の悠仁さま「成年式」での里帰り 注目されるのは「高円宮家の三女・守谷絢子さんとの違い」
週刊ポスト
TUBEのボーカル・前田亘輝(時事通信フォト)
TUBE、6月1日ハワイでの40周年ライブがビザおりず開催危機…全額返金となると「信じられないほどの大損害」と関係者
NEWSポストセブン
ラウンドワンスタジアム千日前店で迷惑行為が発覚した(公式SNS、グラスの写真はイメージです/Xより)
「オェーッ!ペッペ!」30歳女性ライバーがグラスに放尿、嘔吐…ラウンドワンが「極めて悪質な迷惑行為」を報告も 女性ライバーは「汚いけど洗うからさ」逆ギレ狼藉
NEWSポストセブン
夏の甲子園出場に向けて危機感を表明した大阪桐蔭・西谷浩一監督(産経ビジュアル)
大阪桐蔭「12年ぶりコールド負け」は“一強時代の終焉”か 西谷浩一監督が明かした「まだまだ力が足りない」という危機感 飛ばないバットへの対応の遅れ、スカウティングの不調も
NEWSポストセブン
田中圭の“悪癖”に6年前から警告を発していた北川景子(時事通信フォト)
《永野芽郁との不倫報道で大打撃》北川景子が発していた田中圭への“警告メッセージ”、田中は「ガチのダメ出しじゃん」
週刊ポスト
TBS系連続ドラマ『キャスター』で共演していた2人(右・番組HPより)
《永野芽郁の二股疑惑報道》“嘘つかないで…”キム・ムジュンの意味深投稿に添付されていた一枚のワケあり写真「彼女の大好きなアニメキャラ」とファン指摘
NEWSポストセブン
逮捕された不動産投資会社「レーサム」創業者で元会長の田中剛容疑者
《無理やり口に…》レーサム元会長が開いた“薬物性接待パーティー”の中身、参加した国立女子大生への報酬は破格の「1日300万円」【違法薬物事件で逮捕】
週刊ポスト
2日間連続で同じブランドのイヤリングをお召しに(2025年5月20日・21日、撮影/JMPA)
《“完売”の人気ぶり》佳子さまが2日連続で着用された「5000円以下」美濃焼イヤリング  “眞子さんのセットアップ”と色を合わせる絶妙コーデも
NEWSポストセブン
話題のAIビデオチャットアプリ「Castalk(キャストーク)」
「リアルだ…!」グラビアアイドル・森咲智美と2人きりで「ふれあいタッチ」も AIアバターアプリ「Castalk」を男性記者が体験してみた
NEWSポストセブン
石川県を訪問された愛子さま(2025年5月18日、時事通信フォト)
「バッグのファスナーをすべて開けて検査」愛子さま“つきまとい騒動”で能登訪問に漂っていた“緊張感”
NEWSポストセブン
母・佳代さんと小室圭さん
《眞子さんが第1子出産》小室圭さんが母・佳代さんから受け継ぐ“おふくろの味”は「マッシュポテト」 関係者が明かす“佳代さんの意外な料理歴”とは
NEWSポストセブン
群馬県草津町の黒岩信忠町長、町長からわいせつ被害を受けたという嘘の告訴をした元町議の新井祥子被告
「ずるずるずるずる、嘘を重ねてしまいました」…草津町長への“性被害でっち上げ” 元女性町議が裁判で語った“発言がどんどん変わった理由
NEWSポストセブン