国内

夫婦間レイプ、嫌という意志明確に伝えることで有罪立証も

夫の暴力から逃げるには(写真/アフロ)

 夫に望まぬ性交渉を求められ、果ては“薬物”で酩酊させられ、無防備の状態でわいせつ行為をされる──。昨今、こうした「夫婦間」のレイプが多発している。

 かつての日本では「夫婦は互いに性交渉を求めることができ、しかも夫婦は互いに応ずべき義務がある」というのが法律上の通説だった。つまり「夫婦間にレイプは成立しない」という認識が、司法の世界でも一般的だったのだ。

 しかし近年、この前時代的な通説は見直されている。2007年には、東京高等裁判所にて、夫が妻に対して脅迫を加えて姦淫したというケースで、夫に強姦罪で有罪判決が下っている。

 現在はたとえ夫婦間であっても、セックスの要求に「暴行・脅迫」行為が伴っている場合や、明確に夫婦関係が破綻している場合などはレイプが成立するとの解釈が有力だ。

 とはいえ、夫婦間の性暴力は可視化しづらいのが現実で、内閣府男女共同参画局の調査(2017年度)によると、婚姻関係にある女性の約10%が、『配偶者からなんらかの性的強要を受けたことがある』と回答。うち4割以上が誰にも相談していないことも判明した。

 DV問題に詳しい武蔵野大学人間科学部教授の小西聖子先生が語る。

「2017年の法改正で、強姦罪は『強制性交等罪』という罪名に変わりました。ここでいう強制とは、被害者が抵抗したかどうかという点にかかっています。恐怖で抵抗できない人も多いなか、改正された法律にもまだ問題が多いと感じますが、いずれにせよセックスを強要してくる夫に対しては、“嫌だ”という意思を明確に伝えることが大切です」

 レイプドラッグで眠らされているなど、意思表示ができない場合は、科学的な証拠が求められる。

「被害者が睡眠薬などによって抵抗不能な状態だった場合も罪に問うことはできるのですが、その際は血液や尿の中に薬物が存在する、飲みかけのコップの液体から薬物が検出されるというような明確な証拠が求められます。

◆警察・病院へ行くべき

 被害に遭ったらまずは警察に行って、薬を使われた可能性があることを話してください。ただ、夫婦間のレイプについては、警察の現場では今でも被害として扱ってくれないこともあるので、その場合は病院に行き、同じ旨を伝えてください」(小西先生)

 薬の成分などが体外に排出される前に検査しなければ意味がない。夫婦間レイプの立証は一刻を争うのだ。

 全国女性シェルターネット理事の近藤恵子さんも、病院で検査を受けることの重要性を訴える。

関連キーワード

関連記事

トピックス

10月には10年ぶりとなるオリジナルアルバム『Precious Days』をリリースした竹内まりや
《結婚42周年》竹内まりや、夫・山下達郎とのあまりにも深い絆 「結婚は今世で12回目」夫婦の結びつきは“魂レベル”
女性セブン
騒動の発端となっているイギリス人女性(SNSより)
「父親と息子の両方と…」「タダで行為できます」で世界を騒がすイギリス人女性(25)の生い立ち 過激配信をサポートする元夫の存在
NEWSポストセブン
宇宙飛行士で京都大学大学院総合生存学館(思修館)特定教授の土井隆雄氏
《アポロ11号月面着陸から55年》宇宙飛行士・土井隆雄さんが語る、人類が再び月を目指す意義 「地球の外に活動領域を広げていくことは、人類の進歩にとって必然」
週刊ポスト
九州場所
九州場所「溜席の着物美人」の次は「浴衣地ワンピース女性」が続々 「四股名の入った服は応援タオル代わりになる」と桟敷で他にも2人が着用していた
NEWSポストセブン
初のフレンチコースの販売を開始した「ガスト」
《ガスト初のフレンチコースを販売》匿名の現役スタッフが明かした現場の混乱「やることは増えたが、時給は変わらず…」「土日の混雑が心配」
NEWSポストセブン
希代の名優として親しまれた西田敏行さん
《故郷・福島に埋葬してほしい》西田敏行さん、体に埋め込んでいた金属だらけだった遺骨 満身創痍でも堅忍して追求し続けた俳優業
女性セブン
佐々木朗希のメジャーでの活躍は待ち遠しいが……(時事通信フォト)
【ロッテファンの怒りに球団が回答】佐々木朗希のポスティング発表翌日の“自動課金”物議を醸す「ファンクラブ継続更新締め切り」騒動にどう答えるか
NEWSポストセブン
越前谷真将(まさよし)容疑者(49)
《“顔面ヘビタトゥー男”がコンビニ強盗》「割と優しい」「穏やかな人」近隣住民が明かした容疑者の素顔、朝の挨拶は「おあようございあす」
NEWSポストセブン
歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
天皇陛下にとって百合子さまは大叔母にあたる(2024年11月、東京・港区。撮影/JMPA)
三笠宮妃百合子さまのご逝去に心を痛められ…天皇皇后両陛下と愛子さまが三笠宮邸を弔問
女性セブン
胴回りにコルセットを巻いて病院に到着した豊川悦司(2024年11月中旬)
《鎮痛剤も効かないほど…》豊川悦司、腰痛悪化で極秘手術 現在は家族のもとでリハビリ生活「愛娘との時間を充実させたい」父親としての思いも
女性セブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
《東リベを何度も見て大泣き》田村瑠奈被告が「一番好きだったアニメキャラ」を父・田村修被告がいきなり説明、その意図は【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン