昭和25年の2リーグ分立後、「20勝投手」は両リーグから21年連続で誕生した。しかし、投手の「分業制」「ローテーション制」などが確立されるにつれ、その数は徐々に減少。平成以降の達成者はわずか7人だ。今季、「平成最後の20勝投手」は誕生するのか。
平成15年にダイエーで20勝を達成した斉藤和巳氏は、「昭和の先輩投手たちより高い勝率が求められる難しさがある」と話す。
「今の球界は中6日登板が常識なので、先発登板は年間25~27試合。20勝するには、ほぼ負けられない。平成25年に、当時楽天の田中将大が24勝0敗という成績を残しましたが、奇跡に近い数字です。昭和の時代を投げ抜かれた先輩には、分業制は楽に見えるかもしれませんが、確実性が求められる先発投手の負担が軽減したわけではないと思います」
田中以来となる20勝投手は今季、現われるのか。全球団が50試合を終えた時点で、両リーグの最多勝争いには、8勝の大瀬良大地(広島)、7勝のメッセンジャー(阪神)、石川柊太(ソフトバンク)、多和田真三郎(西武)といった面々が名を連ねる(数字は6月7日終了時点、以下同)。シーズンのおよそ3分の1が終了した時点での数字だから、可能性はあるのでは──歴代20勝投手に水を向けた。
◆「完投型」でないとムリ?
カープ一筋19年、通算213勝を挙げ、昭和57年に20勝を達成した北別府学氏は、「20勝するうちに15敗できた時代より、5敗もできない今のほうが難しいのはたしかだが、チャンスのある選手はいる」と語る。
「昨季17勝の巨人・菅野(智之)と、16勝の西武・菊池(雄星)は、今季もすでに6勝しているので十分圏内でしょう。20勝には打線の援護も必要ですが、8勝の大瀬良にはリーグ1位の得点を誇るカープ打線がついているので期待できる。オールスターまでにあと2勝できれば可能性は高くなる」