文芸誌『きらら』6月号から新たにスタートした『私はスカーレット』が話題になっている。名作『風と共に去りぬ』を原作に、作家・林真理子さんが新たな視点で描く超釈小説だ。
中学2年生の時に『風と共に去りぬ』を読んで、「主人公であるスカーレット・オハラの圧倒的な魅力に衝撃を受けた」という林さん。宝塚歌劇団でスカーレット役を演じた龍真咲さんも、「もしスカーレットが現実にいたら、すべての男性がきっと彼女を好きになってしまう」と話す。スカーレットに大きな影響を受けた2人が、『風と共に去りぬ』について語った。
林:名作である一方で、黒人差別の小説であることは忘れてはいけない要素だと思っています。
龍:黒人の奴隷制度が残っていた時代が舞台ですものね。スカーレットは南部の白人貴族の娘なので、差別的な発言も多々あります。
林:アメリカ国内ではやっぱり評価が分かれている作品なんですよ。
龍:きれいなところと汚いところ、両方が混在している一面もまた、『風と共に去りぬ』の素晴らしさだと私は感じています。「戦争だったから」「奴隷制が当たり前の時代だったから」という一言でまとめることはやりたくないですね。
でも、故郷のタラの赤い土に込められた意味を理解することができれば、その土を手にしたスカーレットが何をどう感じていたかも、現代の読者にも必ず伝わるはずだと思っています。この先、連載はどれくらい続くご予定ですか?
林:5年、6年、それとも10年か…どうでしょう。今の時点では全然わからない(笑い)。
龍:大長編なので有名なシーンはたくさんありますけれども、私としては戦地から帰ってきたアシュレが、納屋でスカーレットとふたりになるシーンが大好きなので、あそこはぜひたっぷり書いていただけると嬉しいです。
林:あの場面のアシュレはいいよね。セクシー。まだ連載が始まったばかりなので終着点は見えていないのですが、もしかしたらラストも原作とは違うものにしてしまうかもしれません。
龍:「明日は明日の風が吹く」という有名な終わり方ではなく?
林:あのラストだとちょっと素っ気なさすぎる、と私は思っていて。スカーレットだったら、あそこで終わらないと思うんですよ。だからもしかすると『私はスカーレット』では原作のラストの先、彼女が最愛の人を取り戻すプロセスまでちゃんと描いていくかもしれません。
龍:小説でしか表現できない世界観もきっとたくさんありますよね。これからの連載を楽しみにしています。
※女性セブン2018年6月21日号