定年後の引っ越し、住み替えには大きく分けて3つのパターンがある。「郊外の戸建て」から「都会のマンション」に引っ越すか、逆に「都会のマンション」を離れて「田舎暮らし」を始めるか。
そして、もう一つは「子供との同居」だ。同居まではいかなくても、子供と“スープの冷めない距離”に住むことを考えている人は少なくないだろう。
「おい、東京に家を買うぞ。一緒に住まないか」
Aさん(50歳)が九州で年金生活を送っていた父からそう言われたのは10年前、父が68歳の時だった。
両親は自宅と祖父から相続した故郷の土地を売り、東京の郊外に一戸建てを購入。Aさん家族と同居を始め、小学生だった息子も祖父母になついた。そして昨年母が亡くなり、父も78歳で他界。Aさんは両親を自宅で看取ることができ、「あの時の選択は間違いではなかった」と満足している。
「同居」がうまくいった理想的なケースだろう。定年後は自宅を売って子供と同居を──そう考えている人は多いが、実際はタイミングが難しいという。ファイナンシャルプランナーの小谷晴美氏が語る。