医師による「食事本」が一大ブームになっている。そのなかでは、これまで広く信じられていた食べ物への常識が揺らぐような内容もある。たとえば、卵の食べ方については食事本によって考え方が異なっている。
発売10日で10万部のベストセラーとなっている『世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事』(津川友介・著)では、卵の摂取による血中の悪玉コレステロールへの影響は少ないが、病気への影響はあるとする。卵を1日1個以上食べるグループは、ほとんど食べない(1週間に1個未満)グループと比べると、「2型糖尿病を発症するリスクが42%高い」「糖尿病患者では、心筋梗塞や脳卒中で死亡するリスクが69%高い」というデータを示している。
また、卵を1週間に1個未満しか食べない人たちと比べて、卵を1日1個食べる人たちでは28%、1日2個以上食べる人たちでは64%も心不全を起こすリスクが高いとする別の研究も紹介。この研究では、卵の摂取量が1週間に6個までであれば心不全リスクは上昇しなかったとする。
これらのデータから、同著では〈卵は1週間に6個まで〉と見出しをつけている。“1日1個未満”という計算だ。著者でカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)内科学助教授の津川友介・医師がいう。
「『卵を食べても血中の悪玉コレステロールは上がらないから、いくら食べても大丈夫だ』と思う人がいるかもしれませんが、誤解です。これだけ病気になるリスクが指摘されているのだから、摂取は慎重になるべきです」