中国政府系機関「中国国家情報センター」が運営するウェブサイト「信用中国」は6月1日に、航空機や鉄道の利用を拒否された計169人のブラックリストを公表した。中国では2014年からこれまでに数百万人が航空機への搭乗および列車の乗車を拒否されているが、100人以上のブラックリストが公開されるのは初めて。
「信用中国」は中国政府の経済政策立案・実行を司る中国国家発展・改革委員会と中国の中央銀行、中国人民銀行が運営を指導しており、マナーが悪質な市民や納税義務を果たしていない企業関係者らに対して、中国当局が厳しい姿勢で臨むことを明確にしたといえる。
このブラックリストでは、航空機への搭乗拒否は138人で、列車のそれは83人、52人が重複している。
航空機のブラックリスト掲載者のうち、86人が航空機内や安全検査でトラブルを起こしたり、他人に暴行を働いたり、ライターなど持ち込みが許されない物品を隠し持って搭乗しようとしたマナー違反者。民間航空輸送を担当する政府部門である民用航空局がリストアップしたという。
列車への乗車拒否者のうち、列車内での喫煙や無賃乗車、乗り越し精算を拒否した者が31人で、鉄路総公司が名簿を作成した。
そのほか、多額の税金を納めていない企業関係者52人が含まれている。これは、中国国家税務総局や中国証券業監督管理委員会がリストアップしている。
中国では長距離鉄道路線の切符や航空券を購入する際、身分証の提示が必要だが、これらのブラックリストに掲載されている人々は身分証番号が当局によって把握されており、鉄道・航空会社のコンピュータにそれらの人々の身分証番号が登録されているようだ。
これについて、ネット上では「中国の人々は経済的に裕福になっているのに反比例して、社会秩序維持などの面では個人が厳しく管理されるようになっており、政府の意に沿わない国民は基本的人権すら無視される事態が多くみられるようになっている」など、中国政府批判の書き込みもみられている。