和食は体に良いと信じられているが、必ずしもそうとはいえないと考える人もいる。現在、一大ブームとなっている医師による「食事本」では、どのような評価をされているのか。
「みそ汁には、脳を元気にする成分がぎっしり詰まっている」として積極的に飲むことを提唱しているのが、『脳の専門医が教える脳が若返る40代からの食事術』(熊谷頼佳・著)だ。みその原料・大豆には「レシチン」という、脳の神経細胞の材料になる成分が豊富に含まれている。さらに、昆布出汁に含まれる旨味成分の「グルタミン酸」も脳に刺激を与え、活性化させるのだという。
ただし『世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事』(津川友介・著)は、高血圧があったり塩分摂取量が多い人はみそ汁を「飲まないほうがいい」とする。著者で、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)内科学助教授の津川友介・医師がいう。
「塩分を摂りすぎると心筋梗塞や脳卒中のリスクが高くなることは、複数の研究により明らかになっています。また、塩分過多は骨粗鬆症を引き起こすという研究結果もある。
2010年のデータでは、日本人は1日あたり12.4グラムの塩分を摂取しているとされ、これは世界4位の非常に高い水準です(1位はタイで13.5グラム)。摂取量を減らすのに即効性があるのは、毎日のみそ汁をやめることです」
自らの血圧の数値と塩分摂取量を見直すことが、みそ汁を飲み続けるかどうかの判断材料となりそうだ。
※週刊ポスト2018年6月22日号