国内

『極上の孤独』著者 孤独はウソなき人生のために欠かせない

誠実であるためには「孤」に戻ることが必要(写真/アフロ)

 かたや学生が「指示を受けた」と会見を開けば、かたや監督とコーチは「そんな指示はしていない」と言う(日本大学)。「首相から獣医学部はいいねとコメントをもらったと学園がコメントした」と地方自治体が明かすと、学園理事たちは「コメント自体が虚偽だった」と恥ずかしげもない(加計学園)。右を向いても、左を向いても、問われているのはウソをつき、ごまかしているのはどっちか──。

 かつて親や先生に言われた「ウソつきは泥棒の始まり」の警句にならえば、泥棒がそこかしこにいるこの社会で、ウソにもマケズ、ごまかしにもマケズ、そういう者になるために、そういう子供を育てるために、今、私たちが考えておくべきことは?

「1人殺せば殺人犯だが、100万人殺せば英雄」──映画『殺人狂時代』の有名なセリフだが、ウソも夫や友人の前でつけば単なる“ウソつき”だが、国民の前でつけば“英雄”になるとでも思っているのか。そんな彼らと一線を画して生きるにはどうしたらいいのか。ベストセラー『極上の孤独』(幻冬舎新書)の著者である作家の下重暁子さんが解くのは「孤の中で個を育むことの重要性」だ。

 下重さんが「ウソはごまかしとは無縁に生きていくためには?」という問いに答えを出す。

 * * *
 ウソやごまかしは、組織内で醸造される同調圧力から生まれます。残念ながら、逃れることは難しい。ましてや最近は、人と違うことを言えない窮屈な時代になってしまいました。

 SNSはまさに時代を反映しています。誰かの「いいね」に、みんなが「いいね」と同調する。本当にいいかどうか考えてもいないのに、「いいね」。これは恐ろしいことですよ。周囲が「いいね」と言っても、「私はどうかしら」と考えなくては。そして考えた上で、よくないことはよくない、間違っていることはNOと言う。それが誠実ということです。

 ウソをつかず、誠実であるためには、「孤」に戻ることが必要です。そう言うと「ひとりぼっちは嫌だ」と誤解する人もいるけれど、孤独とおひとりさまはまったく別物です。

 孤独とは自分自身と対話すること。

 人と対話する前に、自分に対して「本当にこれでいい?」「これで大丈夫?」と自分自身に確かめることです。そこで自信を持って「いい」「大丈夫」と言えたら、他人から誠実な人だと見てもらえます。また、自分と向き合うことで、自分をより深く知ることができます。自分はどういうときに喜びを感じたり、寂しさや悲しさ、怒りを感じるのか。それを突き詰めることで、ひいては他者の感情を理解することにつながります。自分自身に向き合わずして、他人を理解することはできません。

 つまり、孤独になるということは、他人に対して誠実になるための原点であると同時に、ウソやごまかしのない、極上の人生を生きるために欠かせないものなのです。

※女性セブン2018年6月28日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

精力的な音楽活動を続けているASKA(時事通信フォト)
ASKAが10年ぶりにNHK「世界的音楽番組」に出演決定 局内では“慎重論”も、制作は「紅白目玉」としてオファー
NEWSポストセブン
2022年、公安部時代の増田美希子氏。(共同)
「警察庁で目を惹く華やかな “えんじ色ワンピ”で執務」増田美希子警視長(47)の知人らが証言する“本当の評判”と“高校時代ハイスペの萌芽”《福井県警本部長に内定》
NEWSポストセブン
ショーンK氏
《信頼関係があったメディアにも全部手のひらを返されて》ショーンKとの一問一答「もっとメディアに出たいと思ったことは一度もない」「僕はサンドバック状態ですから」
NEWSポストセブン
悠仁さまが大学内で撮影された写真や動画が“中国版インスタ”に多数投稿されている事態に(撮影/JMPA)
筑波大学に進学された悠仁さま、構内で撮影された写真や動画が“中国版インスタ”に多数投稿「皇室制度の根幹を揺るがす事態に発展しかねない」の指摘も
女性セブン
奈良公園と観光客が戯れる様子を投稿したショート動画が物議に(TikTokより、現在は削除ずみ)
《シカに目がいかない》奈良公園で女性観光客がしゃがむ姿などをアップ…投稿内容に物議「露出系とは違う」「無断公開では」
NEWSポストセブン
ショーンK氏が千葉県君津市で講演会を開くという(かずさFM公式サイトより)
《ショーンKの現在を直撃》フード付きパーカー姿で向かった雑居ビルには「日焼けサロン」「占い」…本人は「私は愛する人間たちと幸せに生きているだけなんです」
NEWSポストセブン
気になる「継投策」(時事通信フォト)
阪神・藤川球児監督に浮上した“継投ベタ”問題 「守護神出身ゆえの焦り」「“炎の10連投”の成功体験」の弊害を指摘するOBも
週刊ポスト
長女が誕生した大谷と真美子さん(アフロ)
《大谷翔平に長女が誕生》真美子さん「出産目前」に1人で訪れた場所 「ゆったり服」で大谷の白ポルシェに乗って
NEWSポストセブン
九谷焼の窯元「錦山窯」を訪ねられた佳子さま(2025年4月、石川県・小松市。撮影/JMPA)
佳子さまが被災地訪問で見せられた“紀子さま風スーツ”の着こなし 「襟なし×スカート」の淡色セットアップ 
NEWSポストセブン
第一子出産に向け準備を進める真美子さん
【ベビー誕生の大谷翔平・真美子さんに大きな試練】出産後のドジャースは遠征だらけ「真美子さんが孤独を感じ、すれ違いになる懸念」指摘する声
女性セブン
『続・続・最後から二番目の恋』でW主演を務める中井貴一と小泉今日子
なぜ11年ぶり続編『続・続・最後から二番目の恋』は好発進できたのか 小泉今日子と中井貴一、月9ドラマ30年ぶりW主演の“因縁と信頼” 
NEWSポストセブン
同僚に薬物を持ったとして元琉球放送アナウンサーの大坪彩織被告が逮捕された(時事通信フォト/HPより(現在は削除済み)
同僚アナに薬を盛った沖縄の大坪彩織元アナ(24)の“執念深い犯行” 地元メディア関係者が「“ちむひじるぅ(冷たい)”なん じゃないか」と呟いたワケ《傷害罪で起訴》
NEWSポストセブン