「ぼくは男手ひとつで子育てしてきましたが、萩生田さんの発言に“ひどいこと言いやがって”とは思わないし、むしろ頷ける部分もありますよ」
こう語るのは現在中学3年生の息子をひとりで育てる、シングルパパの大浦龍宇一(49才)。1994年にドラマ『この世の果て』(フジテレビ系)で俳優デビュー、現在放送中のドラマ『逃亡花』(BSジャパン)に出演中のほか、歌手としても活躍中だ。
5月27日、自民党の萩生田光一幹事長代行が放った、「どう考えたってママがいいに決まっているんですよ」「『男も育児だ』といっても、子供にとっては迷惑な話」という発言が大きな波紋を呼んだが、大浦はこうした“心ない”言葉にも笑顔で、「やってみるとわかりますけど、ひとりで育てるのは大変ですよ」と話し始めた。
大浦が離婚したのは2007年。当初、元妻が息子の主之和(すのわ)くん(14才)を育てていたが、2011年に起きた東日本大震災を機に、大浦が引き取った。
「働きながら子育てしていた妻は、多忙で家を不在にしがちでした。でもそんな時震災が起きて、余震が続く中、独り留守番する息子の姿を目の当たりにした時、“このままではいけない”と思ったんです」
一時は、俳優を休業することも考えたと言う。
「俳優の仕事は、スケジュールが直前に決まったり、撮影に入ると時間が読めないことも日常茶飯事。親は遠方に住んでいたため、助けも借りられません。とても子育てできるとは思えませんでした。また、当時は仕事上のトラブルや借金も抱え、人生どん底の時期でした。先々への不安や子育てを考えると、俳優を辞めて、安定した職に就くことを真剣に考えたこともありました」
大浦は、主之和くんが小さい間は、家を長時間空けなければならない地方ロケや舞台などはすべて断り、夜は必ず家にいるよう仕事を犠牲にした。大浦が話す。
「俳優としてこれからという時でしたし、周りの反対もありましたが、主之和が20才になった時、絶対に後悔しない選択をしたかったんです」
男手ひとつの育児は試行錯誤の連続だった。
「料理経験ほぼゼロからのスタートでした。せめて見た目だけは華やかにと思い、ケチャップでお皿に目鼻を描いたり、トーストを三角に切って盛りつけたりしているうちに、主之和が喜んでくれるようになった。それが嬉しくて、少しずつ調理器具も揃えながら、キャラ弁にも挑戦したりするうちに、上達していきました」
そんな大浦も、今は朝夜の2回、毎日食事を手作りしている。
「忙しい時まで無理してまで手作りにこだわることはありません。でも、人の手で作ったもので体が作られることで、栄養面だけでなく、不思議と精神面のバランスもとれるようになるとぼくは思うんです」
これまでの子育てを振り返って、大浦が話す。
「主之和も、もう中学3年生。思春期だし、強く反抗することも多々あります。そんな時思うのが、子育てって、大自然と向き合うようなものだなと。今日は晴れだと思っても、急に雨が降ることもある。決してコントロールできないもの。それをわかったうえで、子供と向き合うことが大切だと思います」
※女性セブン2018年6月28日号