東京オリンピックの開催まで800日を切った。そして11月には2025年万博の大阪誘致の結果も発表予定。国を挙げて行われるオリンピックと万博の2大祭典に自分の夢を乗せ、世界中を飛び回る2人がいる。2人の深すぎるオリンピック・万博愛の理由をひもとくと、趣味に生きることのロマンと美学が見えてきた。
山田直稔さん(92才)は、夏季オリンピックになると金のシルクハットに羽織袴で世界各国に現れては、“自称・応援団長”として全力で応援する五輪の名物的存在だ。
一方の山田外美代さん(69才)は、2005年の愛知万博で185日間にわたる開催期間に全日来場。以来、各国の万博に顔を出し、上海万博にも全日参加して当時首相だった温家宝氏から感謝状までもらった強者だ。
オリンピックおじさんこと山田直稔さん(以下、直稔)と、万博おばさんこと山田外美代さん(以下、外美代)を緊急招集。夢の対談が実現した。
オリンピックと万博に魅せられた2人は、アテネからリオまで、上海からミラノまで飛び回る日々が続く。交通費、宿泊費、食費…かかる費用はすべて自腹のうえ、2人とも開催期間中は全日程参加する。お金・時間・労力、自分の持つ全てをかけてオリンピックと万博に臨む2人を突き動かすのは何なのだろうか?
直稔:そりゃあロマンだよ。よく、“団長、オリンピックでいちばんすごい競技は何?”って聞かれるけれど、おれにとってオリンピックは24色のクレヨンみたいなものだから、どの色がすごいかなんて答えられない。
赤は赤のよさが、黒は黒のよさが、それぞれあるだろう? 無限にある魅力を心ゆくまで追求させてくれる、そんなロマンがあるのがオリンピックなんだよ。
外美代:とはいっても、団長にも思い入れの深いオリンピックはあるでしょう?
直稔:強いていえば1984年のロサンゼルスオリンピックかな。その年、初めて野球がオリンピック種目入りして、どうしても見たかったんだけれど、チケットがない。諦めきれず、「ミー! ノーチケット!」とカタコトの英語を使って受け付けで哀願したら、入れてくれたんだ。
それで入ったはいいけれど、なぜか手違いで大統領用の席に案内されて座ったもんだから、会場の大きなスクリーンに映し出されちゃってね! 羽織袴のおれが映ると会場から大きな拍手が起こるから、立ち上がって挨拶して。そしたら、前の席に、大尊敬するチョーさん(長嶋茂雄氏)がいたんだよ! 大スターのチョーさんじゃなく、おればっかり映すから、「チョーさん、悪いね」って謝ったら、「大丈夫。あなたはインターナショナル・チアリーダーだから」って。
外美代:団長の応援は長嶋さんのお墨付きなのね(笑い)。応援するうえで、気をつけていることってあるのかしら?