昨今「殺処分ゼロ」といった言葉も聞くようになったが、殺処分される犬や猫を救うには、まずは動物愛護センターなどに収容されている犬猫たちを出してやらなくては始まらない。そうしたセンターからの引き出し活動自体は、動物愛護団体として登録されている団体が行うが、肝心なのはその後の保護した犬や猫の世話だ。そこで必要になってくるのが個人のボランティアだ。
◆ミルクボランティアや預かりさんになる
動物愛護団体とひと口にいっても、その活動内容はさまざま。だが、どの団体でも犬や猫の世話をするボランティア数が圧倒的に不足している。ボランティアの内容も多岐にわたり、団体所有のシェルターで犬猫の世話をするものや、授乳が必要な子猫の世話をするミルクボランティアなどがある。そのほか、自宅へ犬猫を連れて帰り、一時預かりをする“預かりさん”と呼ばれるものも。
「シェルターのケージの中で飼養するよりも、一時的とはいえ、1つの家庭の中で人と触れ合い、生活環境に慣れさせることで、社会性が身につきます。その意味で、預かりさんは非常に重要なボランティアです」(『動物環境・福祉協会Eva』スタッフ)
こうしたボランティアの募集は常時行われているので、行政や各団体のホームページなどをチェックしてほしい。
保護された犬や猫にとっていちばんの幸せは、新しい里親の家に迎えられること。ペットが飼える住環境が整っていて、時間的にも余裕があるなら、里親になるというのも保護した犬猫を救う方法の1つだ。
最近は動物愛護団体が主催する犬猫の譲渡会だけではなく、各自治体の動物愛護センターなどでも積極的に譲渡活動を行っている。
「譲渡会へ行くと、飼育放棄で持ち込まれたり多頭飼育の現場にいた犬や猫などいろんな子がいます。動物と暮らす予定のあるかたは、まず譲渡会に行ってもらいたいですね」(前出・『Eva』スタッフ)
譲渡会がどこで行われているかわからないという場合は、行政なら愛護センター、愛護団体なら各地域の団体が主催する譲渡会の情報を入手するといい。
ただし、団体によっては里親になるための条件が厳しいところも。例えば、仕事で留守になることが多い、室内飼いをするには部屋が狭い場合、譲渡が難しいと判断される場合がある。1つの団体であきらめず、複数の団体と接してみるとよい。里親になるのが難しい場合、動物愛護団体などに寄付して後方支援するという方法もある。
ただし、動物愛護団体によって、その活動内容には大きな差がある。活動に共感できる動物愛護団体が見つかれば、直接寄付することもできるが、最近はふるさと納税を動物保護のために活用している自治体も増えている。動物愛護団体に寄付する場合、その団体がどんな団体かを見極めることも重要だ。
「東日本大震災直後はとくに顕著でしたが、日本では、活動の実態がほとんどなかったり、寄付金目当ての悪質なものも見受けられます。寄付する前に、実際の活動内容のリサーチは必要です」(国内外の動物愛護活動に詳しい専門家)
例えば収支報告をちゃんと開示しているか、犬猫の譲渡先を最後まで把握しているかなど、厳しくチェックを。最後に、犬猫の殺処分や虐待の問題を人に話すことも、あなたができる最高の啓発。世の中を変える一歩になると知っておいてほしい。
※女性セブン2018年6月28日号