ベテラン揃いの2018年サッカーW杯日本代表メンバー。チーム最年長は、逆境でもブレない守護神、川島永嗣(35)だ。
2010年の南アW杯直前のイングランド戦で楢崎正剛(名古屋)から正守護神の座を奪ってから丸8年。欧州5大リーグでの実績も武器に、彼は3度目の大舞台に挑もうとしている。
「練習で100本シュートを止めても、試合で1本も止められなかったら評価されない。『チームを勝たせられなかった』とGKのせいにされる。まさに理不尽な役割なんです。逆に1本止めることで、悪い流れを変えて勝利に導くこともできる。そのために僕はGKを続けています」と川島は言う。
6月8日のスイス戦で犯したミスによって逆風も強まっているが、そういう逆境は過去にもあった。それでも決してブレないのが百戦錬磨の35歳のGKの強み。「1日1%でも成長する」と前だけを見据える。2015年に経験した半年間の浪人生活をも乗り越え、歩み続けてきた経験値を発揮するのは今しかない。
【プロフィール】かわしま・えいじ/1983年3月20日、埼玉県与野市生まれ。大宮、名古屋、川崎に所属し、2010年夏以降はベルギー、スコットランド、フランスと欧州でプレー。3度目のW杯は半年間の浪人など苦労を経て挑む。5か国語を操る語学の達人。
■取材・文/元川悦子
※週刊ポスト2018年6月29日号