バブル時代に雨後の筍のごとく建てられた有名リゾート地の高級マンション。いまや、その資産価値は著しく下落し、中にはタダ同然で“投げ売り”されている物件もある。「定年後に田舎暮らしをしたい」とリゾートマンションの購入に前向きなシニア層もいるが、安易に手を出すと大変なことになる。住宅ジャーナリストの榊淳司氏がレポートする。
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「私をスキーに連れてって」という映画が公開されたのは1987年の年末。世はまさにスキーブームの真っただ中。そして、経済は大バブルが真っ盛り。イケイケドンドンの風潮に押されるように、スキー場には次々とリゾートマンションが建てられた。そして、東京の郊外と変わらない価格水準で販売された。それでも飛ぶように売れたのがあの時代である。
あれからすでに30年余り。スキーブームは昔話となった。今の若者のウィンタースポーツといえばスノーボードが主流だが、あの頃のスキーブームと比べれば何ともつつましい。
そして、雨後筍の如く作られたスキー場のリゾートマンションはどうなっているのか? もちろん、今もマンションとしてしっかりと残されている。築25年以上の物件がほとんどで、建物は築年数相応に老朽化している。しかし、まだまだ十分に機能している。この20有余年で大きく変わったのは、建物の外観でも機能でもない。資産価値だ。
例えば、新潟県の湯沢・苗場エリアにある築30年弱の某マンション。温水プールに温泉大浴場も完備しているが、高層階にある約30平方メートルの住戸が「10万円」で売り出されていたりする。10万円は家賃ではない。物件価格だ。
この住戸、管理費は月額約2万円。固定資産税などもあわせると年間の維持費は30万円超になりそうだ。しかし、物件価格は10万円。要するに、持ち主は「タダでもいいからもらってください」ということなのだろう。
ということなら、「お金を払ってくれるのなら貰ってあげる」というビジネスも成立するはずだ。そして、とうとうそういうビジネスが誕生し、急成長している。