6月9日、年間延べ3億人が利用する新幹線の中で発生した小島一朗容疑者(22)による殺傷事件。逃げ場のない“密室”、あるいは不特定多数の人物が利用する施設では、そうした“事件”が発生した際に咄嗟の判断と機転が生死を分ける。不測の事態に巻き込まれたとき何ができるのか。
夏となれば、多くの人が訪れるスタジアムでのライブ。たとえば、誰もが知る東京ドームの場合、危険防止の生命線は「徹底した水際対策」だという。
「とにかく、危険物をドームの中へ持ち込ませない。それが基本理念です。東京ドームでは各入り口でバッグの中に手を入れて持ち物検査をしますし、イベントによっては金属探知機も使っています。
防犯上の理由で、避難方法は公開していませんが、過去30年間、検査をすり抜けた危険物が原因で、スタジアムでトラブルが発生したことはありません」(東京ドーム広報IR室)
万が一、スタジアムで暴漢が現われた場合、危険回避のために取れる手段にはどんなものがあるのか。大手警備会社の幹部は、選択肢には「表と裏」があるという。
「スタジアム警備の基本は、観客の動きを統制して、パニックを防ぐこと。その上で、安全ルートへ迅速に誘導します。ですから、警備会社としての『表』の回答は、とにかく落ち着いてスタッフの指示に従ってほしい」
だが、観客を落ち着かせることが難しいケースもあるのではないか。