サッカーで背番号11といえば、得点する人というイメージが強い。ワールドカップサッカーに挑む日本代表、西野ジャパンのメンバーには、覚醒が待望される背番号11の怪物、宇佐美貴史(26)がいる。
「彼の魅力はフィニッシャーとしての力。多彩なシュートを持っている」と西野朗監督から賞賛されるのが宇佐美だ。ハリル前監督にも「特別な才能を持った選手」と寵愛されながら、この3年間は苦しんできた。今回、ガンバ大阪時代の恩師にチャンスを与えられた以上、ロシアでゴールを奪うしかない。それが背番号11に託される使命である。
その11番はいまだカズ(三浦知良=横浜FC)の印象が強い。W杯本番で結果を出したのは2002年の鈴木隆行(現解説者)くらい。以降の選手はことごとく不発に終わっている。
「新たな11番像を作るとかは特にない。でも自分のスタイルや存在感は作り上げたい。前線の左、真ん中、右で技術をフルに生かして違いを作り、ゴールに絡む。そこは強くこだわりたいところです」と語気を強める怪物FWのブレイクが待たれる。
【プロフィール】うさみ・たかし/1992年5月6日、京都府長岡京市生まれ。ガンバ大阪ジュニアユース時代から怪物と称され17歳でプロ契約。19歳でドイツのバイエルン・ミュンヘンに挑み、現在はドイツ4チーム目のデュッセルドルフに所属。今季はドイツ2部で8得点。妻・宇佐美蘭との間に2女。
■取材・文/元川悦子
※週刊ポスト2018年6月29日号