1957年に放送開始されたNHK Eテレ『きょうの料理』。テキスト版は1958年5月に創刊しており、今年で60周年となる。この60年間で登場した講師陣は、約1500人、料理は4万点以上にも。その中でも話題が集中したレシピを厳選してお届けしよう。
◆時短ブームの先駆け “おかずの素”が大ヒット
2004年に初登場した、自分で作る合わせ調味料“おかずの素”が大好評。『きょうの料理』のテキスト編集長・草場道子さんはこう話す。
「みそ、そばつゆ、醤、梅だれなど、一度作ってストックしておけば、かけたり、和えたり、炒めたりと手軽に使えるうえ、味つけがピタッと決まって、調理の手間がラクになります。“プロの秘伝のたれ”として紹介したところ、家庭で作るレシピにもかかわらず“どこで売っていますか?”という問い合わせが殺到しました(笑い)」(草場さん)
ここ最近は空前の作りおきブームだが、時短は“おかずの素”を作るという形で、ひと足早く広まっていたようだ。
◆普通の主婦代表!カツ代さん&レミさん登場
1979年に小林カツ代さん、1980年に平野レミさんが、『きょうの料理』に初登場。カツ代さんのおいしくて手軽なスピード料理、レミさんのアイディア満点のユニークなレシピは、世間に衝撃を与えた。中でもレミさんが初登場で湯むきしたトマトを手で潰したのは、今や伝説。当時、賛否両論の電話が殺到し、今でいう炎上騒動が勃発。一方で忙しい主婦たちには、「私もできそう!」「料理って楽しい!」と希望を与え、日々の家庭料理に新たな風穴を開けた。現在もレミさんの愉快なショーは止まらず、放送事故(!?)を楽しみに出演を待つファンも多い。
◆初めて包丁を握るシニアの料理入門書に
2012年「ひとり分ごはん」の特集がヒット。定年退職した団塊の世代など、シニア層からの支持が高いのが理由だという。
「リタイア後に趣味で料理を始める、奥様の代わりに料理を始めるなど理由はさまざまですが、“まずはここから!”と初めの一歩を踏み出す入門書にしてくださるかたが多いんです」(草場さん)
そんな“シニアの星”として人気なのが、料理研究家の小林まさるさん(85才)。義理の娘、つまり息子の嫁の小林まさみさん(48才)の調理アシスタントとして70才でデビュー。お茶目なキャラクターと酒好きが高じて、冷蔵庫にあるものや缶詰でササッと作るおつまみが好評を博している。
◆この時季の風物詩、6月号は梅干しが定番
おせちと同じく、毎年恒例の人気ネタなのが6月号の梅干し特集。こちらも保存版にして、毎年楽しみにしている人が多いという。基本の漬け方、干し方からアレンジレシピまで、定番なのになぜか毎年買いたくなってしまう大人気の特集だ。