2018サッカーワールドカップ日本代表を率いる西野朗監督が代表選考基準のひとつとして発言した「ポリバレント(多様性)」という言葉が話題だ。選ばれたメンバーのなかで、強気が頼もしいポリバレント男として期待されているのが、原口元気(27)だ。
3-4-3では右ウイングバックと右シャドウ、4-2-3-1では右MFと多彩な役割をこなすのが原口だ。ハリル時代にはボランチや右サイドバックまで担った「真のポリバレント男」は必要不可欠な存在だ。
「どこでもできるとは思ってる。一番得意なのは前めだけど、自分のよさは『やれ』と言われたことをすぐにできたり、求められてることを深く理解して表現できるところ。それは僕の強み」と本人も自信をのぞかせる。
そんな原口に必要なのがゴールという結果。「ビッグ3」と言われる本田圭佑(パチューカ)、岡崎慎司(レスター)、香川真司(ドルトムント)の得点力が低下したロシア最終予選の序盤をけん引したのは、4戦連続弾という日本記録を樹立したこの男に他ならない。原口のゴールが2016年11月のサウジアラビア戦からストップしているのが、昨今の苦戦の一因という見方もできる。
「どの試合も取れたらいいけど、本番で取れたら一番いい。本当に重要な一発勝負で気持ちをグッと入れるのは得意なんで、あんまり心配していないです」という強気の姿勢は実に頼もしい。「器用貧乏」から脱して、ロシアを「原口元気の大会」にしてほしい。
【プロフィール】はらぐち・げんき/1991年5月9日、埼玉県熊谷市生まれ。全国制覇した少年時代から異彩を放ち、浦和レッズでは17歳でJデビュー。2014年にドイツのヘルタ・ベルリンへ移籍。多彩な役割をこなせる万能型MFへ飛躍を遂げた。妻はキャスターの香屋ルリコ。実家は動物病院。
■取材・文/元川悦子
※週刊ポスト2018年6月29日号