グラビア写真界の第一人者、渡辺達生氏(69)が“人生最期の写真を笑顔で撮ろう”とのコンセプトで立ち上げた『寿影』プロジェクト。渡辺氏は、自然な笑顔を引き出すべく、撮影する人に「一品」を持ってきてもらって、それにまつわるエピソードを聞きながら撮影する。
白山眼鏡店社長の白山將視氏(68)が持ってきたのは、ジョン・レノンが亡くなったときにかけていたのと同型モデルの眼鏡。
「僕が作った眼鏡をかけていたときに、撃たれたんだ……」
ジョン・レノンが凶弾に倒れた翌年に発売されたオノ・ヨーコのLP『シーズン・オブ・グラス』のジャケットを見た瞬間、白山氏は震えた。そこに写る血痕の付いた眼鏡は、自身がデザインした『メイフェア』だった。
「1979年にジョンが来日した際、デザインを気に入ってくれて、同じモデルを色違いで3本購入してくれたうちの1本でした」
この眼鏡は唯一残る同型モデル。大ファンであるジョンの遺品のように思える大切な一品だ。