捜査に進展が見られない“紀州のドン・ファン”こと野崎幸助氏(享年77)の怪死事件。ここにきて和歌山県警の動きに変化が出始めた。
前日よりもグッと気温が下がり、雨が降りしきっていた6月20日の朝8時前。和歌山県田辺市にある野崎氏が経営する会社の前に、県警の車が数台停車した。
10人以上の捜査員が会社に足を踏み入れると、待ち構えていた野崎氏の妻・Sさん(22)の弁護士2人が、捜査員に立ち会いを求めた。しかし、拒否されたのか、2人は会社を出ていった。
この家宅捜索はあくまで野崎氏の会社が対象で、経営者でも従業員でもないSさんは当事者ではないと見なされたようだ。これまで、Sさんや野崎氏の家政婦の自宅に家宅捜索が行なわれてきたが、“捜索済み”のはずの会社を再捜索した理由とは何なのか。
◆あったはずの現金
捜査員たちは1階の事務スペースには目もくれず、階段をのぼり、2階にある「金庫室」に向かったという。
「普段は野崎社長以外は立ち入れない場所で、中に何があるかを知らない社員さえいるほど。基本的に金庫に触っていいのは野崎社長だけで、社員にとってはまさに“開かずの間”。捜査員が金庫部屋に足を踏み入れたのもその日が初めてで、番頭格の社員の立ち会いのもと、捜査員が金庫を開けました」(会社関係者)