いざ大地震に襲われたとき、我々はどう行動すべきなのか。過去の被災経験や防災学の進歩によって、かつて習った常識は変わりつつある。
調理中やガスストーブを使っている最中に地震に見舞われたら、火災を防ぐため「すぐに火を止める」が常識だった。しかし、今やその行為は“かえって危険”とされている。危機管理アドバイザーの国崎信江氏が解説する。
「地震発生時に慌てて火を消そうとすると、熱い油や汁物などで火傷する恐れがある。また、キッチンは刃物や食器など危険なものが落下してくる可能性が高いため、消火よりも避難を優先したほうがいい」
火災発生リスクも、科学技術の進歩によって低くなっているという。東京ガス広報部はこう回答する。
「現在では当社のエリアのほぼ全家庭に、震度5程度以上の揺れを感知すると自動的にガスの供給をカットするマイコンメーターが設置されています。すぐに火を消せる状態であれば、消すことが望ましいですが、危険を冒してまで無理に消しにいく必要はない」
東京消防庁もHPでこう呼びかけている。
〈(ガスメーターには)対震自動消火装置を備えたものが普及しており、使用中の火気器具からの出火の可能性は低くなっています。万が一出火した場合でも、落ち着いて対応すれば、揺れが収まってからでも十分消火することができます〉
※週刊ポスト2018年7月6日号