怒りに任せて水をぶちまけた韓国の“水かけ姫”のニュースが世界的な話題となっているが、日本でも同様に水をかけたら暴行の罪に問われるか? 弁護士の竹下正己氏が回答する。
【相談】
韓国では姉の“ナッツ姫”に続き、妹の“水かけ姫”が問題になっていますが、驚いたのは会議中に水をかけただけで暴行罪が成立したことです。私も他人と議論の最中に、感情に任せて相手に水をかけたことがあります。日本でも蹴るなど直接手を出さずとも、水をかけたりすると暴行罪は成立するのでしょうか。
【回答】
刑法208条は「暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する」と定めています。
暴行でケガを負わせれば、傷害罪で15年以下の懲役、または50万円以下の罰金です。暴行は傷害の前段階の行為を処罰するものです。暴行とは「人の身体に対し不法な攻撃を加えること」や「人の身体に対する有形力の不法な行使」といわれています。
攻撃や有形力が相手の身体に接すれば暴行です。およそ傷害の結果が生じる恐れがまったくない場合まで暴行になるか疑問はありますが、不快・嫌悪感を与えれば、心理的苦痛を与えているので暴行になります。よって、コップの水をかければ、有形力が相手の身体に接触し、不快・嫌悪感を与えるので暴行になると思います。
ちなみに、日本でも労働組合の分裂騒動で反対派従業員に食塩を数回振りかけた行為を暴行としています。また相手に糊を振りかける意図で、糊を含んだ刷毛を振った行為が有形力の行使となり、暴行であるとする裁判例もあります。