南極で隊員たちの胃袋を掴み続けた女性がいる。渡貫淳子さんだ。渡貫さんは青森生まれ、44才。エコール 辻 東京日本料理マスターカレッジを卒業。2015年、第57次南極地域観測隊の調理隊員に。2017年春に帰国後は、南極料理レシピを公開したり、料理教室の講師をしたり、企業の商品開発をするなど、幅広く活動している。調理師の夫とエンジニアの息子の3人家族だ。
そんな渡貫さんに、南極生活について聞いた。
【南極生活 一問一答】
Q. 南極地域観測隊とは?
A. 1年4か月間、何があっても帰れないプロジェクトに参加すること。
Q. ものすごく寒い?
A. 南極というと、年配の人は「バナナで釘が打てる?」と聞くけど、それは南極点付近の話。昭和基地は夏の平均最高気温は1~2℃で、冬の平均最低気温はマイナス23.3℃。真冬の旭川くらいですね。
Q. お休みは?
A. 調理をしない日が週2日あるシフトを調理隊の相方が組んでくれたんです。基地にいれば冷凍庫の掃除とか報告書を書くとか。水引きで箸置きを作っていることもあるし、個室の掃除や洗濯をしたり、他の隊員の手伝いをしたり。
Q. 洗濯機はあるの?
A. 女性は5人で1台使っていたけど、男性は25人で2台。しかも雪を溶かした塩分を含んだ水で「すすぎは1回」と決められているから、白いシャツはしばらく経つと黄ばんできましたね。
Q. 乾燥機は?
A. 空気が乾燥しているから部屋干しですね。狭い部屋に干した洗濯物の下をくぐって歩いていました。
Q. 乾燥して困ることは?
A. 足がカサカサになって、20足持っていった靴下全部に穴があいた。みんなそう。次の隊の人がビックリしていた。
Q. テレビは見られるの?
A. 日本から電波が届かないから無理。
Q. ニュースは何で知るの?
A. インターネットがつながっているからそれで。最初の頃は気にして見ていたけど、そのうち、「SMAPが解散するらしい」とか、隊員からの噂を聞くだけに。
Q. 家族との連絡は?
A. メールも電話もOK。電話は国立極地研究所と内線電話でつながっていて、国内と同じ料金。でも、時差が6時間あるから仕事が終わる頃には、家族は寝ている。メールのやり取りが多かったですね。
※女性セブン2018年7月5日号