あぶく銭は身につかない、とはよく言われるが、時と場合と人によっては身を切る思いをすることまであるようだ。中国の情勢に詳しい拓殖大学海外事情研究所教授の富坂聰氏がレポートする。
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やっちまった、という声が聞こえてきそうである。北京青年報の運営するサイト「北青ネット」に掲載された記事の中で、一人の出稼ぎ労働者が顔を覆って落胆する姿が写った写真のことである。
この人物、蔡さんは、深圳に出稼ぎに来て10年になる出稼ぎ労働者である。彼の趣味は「宝くじ」を買うこと。深センに出てきた2年目から宝くじを買い続けて8年。これまでどんな当たりにもかすったことはなかった。だが、蔡さんはそれを「天が私の忍耐力を試している」とし、宝くじを買い続けてきた。
そして5月、少し酒を飲み、いつものように買ってあった宝くじの当せん番号を調べてみると、なんと、手元の宝くじの番号が500万元(約8350万円)の当せん番号と一致しているのを発見するのである。舞い上がった際さんは、すぐに労働者仲間を呼び集め、宴会を始めてしまったのだった。
飲めば飲むほど気が大きくなり、最後にはものすごい数の仲間が集まり、飲めや騒げやの大宴会となったという。蔡さんはその夜、これまで貯めたすべての貯金を使い果たしたというから凄まじい。
さて、問題が発覚したのは次の日のことだ。当たりくじをもって販売所を訪れ、換金を申し出たところ、蔡さんの持っている宝くじは当せんしたものではないと突き返されてしまうのだ。実は、酒に酔った蔡さんは、一つ前のくじの当せん番号をみてしまい、手元の宝くじはまだ当せん発表がされていないものだったのだ。
天が与えたのは、別の忍耐だったということか。