“異変”は辞任の1か月前から表面化していた。6月16日にプロ野球・楽天の監督を辞任した梨田昌孝氏である。今季、楽天はリーグ・交流戦ともに最下位に沈み、借金は20を超えていた。そんな成績不振の最中、不可解な一件があった。
5月17日の試合前、二軍に控えるドラフト2位ルーキー・岩見雅紀について番記者に聞かれ、梨田氏は「まだ時間がかかる」とコメントしていた。しかし翌日、その岩見が一軍に昇格したのだ。楽天番記者が語る。
「ケガ人が出たわけでもないのに、監督が1日で考えを変えるとも思えない。“フロントの意向”がはたらいたのではないかと見られています。
他にも、6月11日にペゲーロや内田靖人ら主力選手を含む5人が登録抹消された際は、通常なら前日に伝えられるところを、当日に伝えられた選手もいたと報じられている。そうした判断のひとつひとつが、監督によるのかフロントによるものなのか、全くわからない状態になっていた」
楽天は、12球団で初めてデータ分析技術の「トラックマン(高性能弾道測定器)」を導入し、今年からは「チーム戦略室」を立ち上げるなど先進的な試みで知られる。そうした取り組みの一方で、球団創設の2004年からオーナーを務める三木谷浩史氏が、2015年の大久保博元監督時代に打順や継投策に口を出すなどの“現場介入問題”が報じられていた。