趣味で野菜を育てる人が栽培上の問題にぶつかっても、インターネットで検索すれば、大抵のことは解決できる時代だ。ところが理由を説明しているものが少ないと、園芸家の深町貴子さんは言う。
「収穫につなげるのに大切なのは、マニュアルやルーチンの管理でなく、生き物に寄り添う観察眼です」(深町さん)
園芸技術アドバイザーの古藤俊二さんも、「発育状況をよく見ていれば、何が問題なのか、その植物が今、何を欲しているのかわかります」と話す。
そして、素人には扱いが難しいと言われているのが、肥料。追肥と控えるタイミングの見極めが大切になってくる。特に、暑さで植物が弱っている時は、追肥してはいけない。というのも、肥料を与えることで、かえって脱水症状を起こすからだ。
「そういう時は、半日陰などでよく休ませ、状態が落ち着いてから追肥を」(深町さん)
また、あきらかに発育が悪い場合は、どうすべきか。
「固形物肥料ではなく、カルシウムや微量要素、アミノ酸、有機酸などを溶かした溶液を使うとよいでしょう。この方法は、弱った根の保護と活性化に有効です」(古藤さん)
追肥のタイミングは野菜によって違うが、おおむね苗を植えて1か月後が目安になる。
「プランターに市販の元肥入りの野菜用培養土を使用した場合、栽培開始から約1か月ほどで最初の元肥が切れてきますから、ここで追肥を」(深町さん)
ただし50日程度で収穫を迎える葉物野菜や、自根で養分を作り出せるマメ科植物は追肥不要。
「トマトのような実がなる果菜類は、最初の1果がついたのを確認してから追肥を。というのも実がなる前に追肥すると、茎や葉が茂りすぎる、“キボケ”という現象が起き、花数が減ってしまうのです」(古藤さん)
基本的には、下葉から黄色くなるのが肥料切れのサインで、これを目安にして追肥をスタートするとよい。
反対に、異常に茎が太くなったり葉が大きくなる、上位の葉がねじれるなどの症状が出たら、肥料過多だと考えたほうがいいだろう。
※女性セブン2018年7月12日号