安倍晋三首相による第二次安倍政権は発足から6年目になっている。ところが、成果らしい成果があがっていないと経営コンサルタントの大前研一氏は指摘する。この6年の安倍政権によって、世界における日本はどのような存在になったのか、大前氏が解説する。
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以前、日本大学アメリカンフットボール部の「悪質タックル事件」の背景にある田中英壽理事長の独裁体制について指摘した。実は、この田中独裁体制にそっくりなのが安倍晋三政権だ。
日大では田中理事長の“右腕”だった内田正人前アメフト部監督が人事担当の常務理事(5月30日付で辞任)という実質的なナンバー2として強大な権力を握っていた。このためアメフト部のコーチや選手は内田前監督に全く逆らえなかった。それと同様に安倍一強体制では実質的なナンバー2の菅義偉官房長官が役人の人事権を握っているため、森友学園問題や加計学園問題で“忖度の連鎖”が生まれたのである。
その結果、野党が麻生太郎副総理兼財務相の辞任を要求するなど強硬に反発して審議拒否を続け、今国会は半月以上も空転したわけだ。森友・加計問題への政府の対応に国民の75%が疑問を抱いているという調査もある。普通では考えられない事態だが、自民党には自浄作用が全く見られない。
さらに、そもそも今国会で安倍政権は働き方改革関連法案とIR(統合型リゾート)実施法案を最重要課題と位置付けているが、この二つの法案のいったいどこが最重要なのか、私には全く理解できない。