国内

田舎で親を介護しながら違法DVDを売る元暴力団員の告白

違法DVD販売に対する厳罰化がすすんでいる

 漫画も音楽も、ドラマも映画も、スマホやPCを使ってネットで楽しむ時代だ。にもかかわらず、アダルトコンテンツの海賊版DVD業者は廃業れる気配がないという。警察による摘発は厳しさを増しているにもかかわらず、やめられないという海賊版業者の本音をライターの森鷹久氏がレポートする。

 * * *
「今月も摘発がありました。警察は注意喚起の意味も込めて、摘発の瞬間や容疑者の顔をマスコミに撮らせたりもするのですが……。摘発してもしても、無くならないのが現実です」(大手紙社会部記者)

 モザイク処理などを施していない、いわゆる「裏DVD」業者の摘発が目立ち始めた、と話すのは、大手紙の社会部記者。実は筆者、昨年末に東京・歌舞伎町で裏DVD業者が逮捕され、過去最大量のわいせつDVD57万9千枚が押収された際に取材したとき、別の複数の記者や当局関係者からも、これで「業者の殲滅」につながるはず、などと聞いていた。

 しかし今年に入ってからも名古屋、岡山、宇都宮と全国各地で業者の摘発が続き、6月13日に逮捕された男ら三人からは計26万枚のわいせつDVDが押収されている。

 歴史を紐解けば、昔はビニールシートなどでピッチリ閉じられた「ビニ本」や「裏本」、そして「裏ビデオ」に「裏DVD」など、オトコの欲求に応え、さらに莫大なカネを稼ごうと様々な違法アダルトコンテンツを製造し、供給する者たちがいた。もちろん法を犯した者は摘発されたり、刑務所に入ったり罰金刑を受けたりと制裁も受けるのだが、どういう訳か、この種の人々はこれらの”シゴト”から足を洗おうとしない。

「だって儲かるんですもん! 昔より今のほうが(違法DVDを)作りやすいし、誰でもできますからね!」

 東北地方某市在住の山本雄助さん(仮名・30代)は、主にSNSを使って裏DVD販売を続けて今年で10年。元暴力団員で、わいせつ図書などの販売で何度も検挙された経験を持つが、やられてもやられても、まるで不死鳥のごとく蘇っては、懲りずに違法アダルトコンテンツを売りに売りまくってきたのである。

「昔はね……裏ビデオは、メーカーとか業者に食い込んでいないと扱えないシロモノでした。販売だってそう。よその(組の)シマでは売れませんし、結局暴力団にケツ持ってもらわなきゃダメ。でも、舞台がネットになってからは、そういう煩わしさが一切なくなったんですね。作るのも、売るのも完全にタダ!」

 聞けば山本さん、以前は某広域指定暴力団の三次団体に所属はしていたというものの、新参組員に必須の組事務所の掃除や電話番、来客対応をつとめる当番などは未経験。すべては非合法の「ビデオ」や「本」を売ったり、時には自分で楽しむために暴力団になったのだと笑い飛ばす。事実、ネットの台頭に合わせるように、任侠世界からも自然と足が遠のいた。

「最初はガラケーのサイトで募った客相手に商売していましたね。その時のコンテンツは違法な裏本。サイトに無断アップされているのを勝手にダウンロードして、勝手にCDを作ってた(笑)。みんな違法だしパクられるわけないじゃん、ってね。その後はミクシィやグリー、モバゲーでもコミュニティを作って売ったね。最初は写真データだったのが、いつの間にか動画になって、最近ではフルハイビジョンだもん」

 まさに、ネットインフラの発達やSNSの進化に合わせて、違法コンテンツを供給し続けてきた山本さん。「逮捕されるわけがない」と確信していたのは、そもそも何もかもが違法であり、その一端に自分が「少しだけ噛み」儲けているに過ぎない、と考えていたからだった。だが……。

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