芸能

とにかく爆笑できる寄席囃子奏者プロデュースの若手会

寄席囃子を演奏する恩田えりがプロデュースする若手会の魅力は

 音楽誌『BURRN!』編集長の広瀬和生氏は、1970年代からの落語ファンで、ほぼ毎日ナマの高座に接している。広瀬氏の週刊ポスト連載「落語の目利き」より、落語家の出囃子など寄席囃子を演奏する恩田えりがプロデュースする若手会について解説する。

 * * *
 高円寺の居酒屋「ノラや」は長年「ノラや寄席」を開催しているが、2009年にゴールデンウィーク特番として「五月猫(ごがつびょう)」という企画を始めた。寄席囃子の恩田えりプロデュースの若手会で、僕は初年度から毎年通っている。

 その「五月猫」歴代出演者を迎えての「五月猫同窓会」(なかの芸能小劇場)が2015年から始まり、これも毎年恒例となった。今年は5月4日で出演は古今亭今輔、三遊亭萬橘、三遊亭天どん、笑福亭たま、そして「歌うスタンダップコメディ」寒空はだか。開口一番は三遊亭白鳥門下の前座、三遊亭ぐんまが高校レスリング部時代の実話をもとにした新作『グレコ奮闘記』を演じた。

 この会の出演順は、えり司会のオープニングトークでのクジ引きで決まる。一番手は昨年度の花形演芸大賞受賞者、パワフルな上方落語で人気の笑福亭たま。持ち時間の半分を費やした「上方落語協会会長選挙の裏話」がナマナマしくて実に面白い。こういう話術の冴えもたまの魅力だ。続いて演じた『寿限無』も当然ありきたりな古典ではなく、長寿を願って親が付けた名前のとおり「よく食べ、よく育ち、長生きした」男の生涯をコンパクトに描く、たま独自の爆笑編。でありつつ、ちょっと感動的な余韻を残すのも素敵だ。

 続く天どんは師匠の三遊亭圓丈作『肥辰一代記』。オワイ屋中興の祖と呼ばれた肥え汲み名人の十三代肥辰に憧れて入門した青年が修業に励んで十四代肥辰を襲名するというバカバカしい噺で、柳家喬太郎も好んで演じるが、どこか投げやりな口調で淡々と演じる天どんの『肥辰』には、迫力に満ちた喬太郎の口演とは異なるトボケた可笑しさがある。

関連キーワード

トピックス

無罪判決に涙を流した須藤早貴被告
《紀州のドン・ファン元妻に涙の無罪判決》「真摯に裁判を受けている感じがした」“米津玄師似”の男性裁判員が語った須藤早貴被告の印象 過去公判では被告を「質問攻め」
NEWSポストセブン
激痩せが心配されている高橋真麻(ブログより)
《元フジアナ・高橋真麻》「骨と皮だけ…」相次ぐ“激やせ報道”に所属事務所社長が回答「スーパー元気です」
NEWSポストセブン
Instagramにはツーショットが投稿されていた
《女優・中山美穂さんが芸人の浜田雅功にアドバイス求めた理由》ドラマ『もしも願いが叶うなら』プロデューサーが見た「台本3ページ長セリフ」の緊迫
NEWSポストセブン
トンボをはじめとした生物分野への興味関心が強いそうだ(2023年9月、東京・港区。撮影/JMPA)
《倍率3倍を勝ち抜いた》悠仁さま「合格」の背景に“筑波チーム” 推薦書類を作成した校長も筑波大出身、筑附高に大学教員が続々
NEWSポストセブン
12月6日に急逝した中山美穂さん
《追悼》中山美穂さん、芸能界きっての酒豪だった 妹・中山忍と通っていた焼肉店店主は「健康に気を使われていて、野菜もまんべんなく召し上がっていた」
女性セブン
自宅で亡くなっているのが見つかった中山美穂さん
【入浴中の不慮の事故、沈黙守るワイルド恋人】中山美穂さん、最後の交際相手は「9歳年下」「大好きな音楽活動でわかりあえる」一緒に立つはずだったビルボード
NEWSポストセブン
結婚披露宴での板野友美とヤクルト高橋奎二選手
板野友美&ヤクルト高橋奎二夫妻の結婚披露宴 村上宗隆選手や松本まりかなど豪華メンバーが大勢出席するも、AKB48“神7”は前田敦子のみ出席で再集結ならず
女性セブン
スポーツアナ時代の激闘の日々を振り返る(左から中井美穂アナ、関谷亜矢子アナ、安藤幸代アナ)
《中井美穂アナ×関谷亜矢子アナ×安藤幸代アナ》女性スポーツアナが振り返る“男性社会”での日々「素人っぽさがウケる時代」「カメラマンが私の頭を三脚代わりに…」
週刊ポスト
NBAロサンゼルス・レイカーズの試合を観戦した大谷翔平と真美子さん(NBA Japan公式Xより)
《大谷翔平がバスケ観戦デート》「話しやすい人だ…」真美子さん兄からも好印象 “LINEグループ”を活用して深まる交流
NEWSポストセブン
(時事通信フォト)
「服装がオードリー・ヘプバーンのパクリだ」尹錫悦大統領の美人妻・金建希氏の存在が政権のアキレス腱に 「韓国を整形の国だと広報するのか」との批判も
NEWSポストセブン
自宅で亡くなっているのが見つかった中山美穂さん
《私には帰る場所がない》ライブ前の入浴中に突然...中山美穂さん(享年54)が母子家庭で過ごした知られざる幼少期「台所の砂糖を食べて空腹をしのいだ」
NEWSポストセブン
亡くなった小倉智昭さん(時事通信フォト)
《小倉智昭さん死去》「でも結婚できてよかった」溺愛した菊川怜の離婚を見届け天国へ、“芸能界の父”失い憔悴「もっと一緒にいて欲しかった」
NEWSポストセブン