ライフ

うなぎをやめられない不思議 高嶺の花となると欲求が高まる

うなぎは江戸時代以来、生活に根ざした食文化

 夏の風物詩ともいえるうなぎ。だが近年、うなぎをめぐる環境は良いとはいえない。食文化に詳しい編集・ライターの松浦達也氏が考察した。

 * * *
 梅雨が開け、夏本番が近づくと「土用の丑」「うなぎ」の文字が目につくようになる。今年も外食各社がうなぎの販売に乗り出した。牛丼チェーンでも吉野家が「鰻重」を750円から販売している。すき家は「うな丼」のほか「毎年恒例となっている「うな丼」「うな牛」「うなとろ丼」「うなたま丼」を販売」するという。価格は「うな丼」が790円から。

 セブン-イレブン、ローソン、ファミリーマートといった大手コンビニチェーンも予約注文中心ながらうなぎを発売している。メニュー名は奇しくも三社とも「うなぎ蒲焼重」。セブン-イレブンとファミリーマートでは1100円台の”廉価版”は中国産、2600円前後の”上”は鹿児島県産──というふうに、この2社の産地や価格帯は似通っている。

 一方「九州産」を謳うローソンの価格帯は1980~2980円。少々高めに設定していることに加え、鹿児島県では「鹿児島県産」、東海・静岡地域では「愛知三河産」を採用、ご当地ブランドにこだわる。その他、「大戸屋」「やよい軒」「夢庵」などの定食・ファミリーレストラン業態もうなぎの販売をスタートさせている。

 それにしても不思議だ。この数年、この時期になると毎年のようにうなぎの不漁や絶滅危惧が叫ばれている。だが牛丼店やファミリーレストランなど、庶民の食を提供する業態ほど「うなぎ」をやめられない。

 昨年、株式会社マクロミルが全国の男女1000名を対象に行った「2017年 土曜の丑の日に関する調査」では、全体の30.3%が「土用の丑の日にうなぎを食べない」と回答。その理由を聞くと上位は「高価だから」「好きではないから」「土用の丑の日に限らず、自分が食べたいときに食べるから」という回答が上位に並んだ。「ニホンウナギが絶滅危惧種であるから」は「食べない派」のわずか4.3%。つまり「環境が気になるから食べない」全体のわずか1%しかいないということになる。

 知らないわけではない。「ニホンウナギが絶滅危惧種に指定されていることに対する認知率」は67.8%にのぼった。先の設問で「土用の丑の日にうなぎを食べる」と回答したのは69.7%。「知っていて、なお食べる」が調査に見る私たちの選択なのだ。

関連記事

トピックス

9月に成年式を控える悠仁さま(2025年4月、茨城県つくば市。撮影/JMPA)
悠仁さまが学園祭にご参加、裏方として“不思議な飲み物”を販売 女性グループからの撮影リクエストにピースサイン、宮内庁関係者は“会いに行ける皇族化”を懸念 
女性セブン
V9伝説を振り返った長嶋茂雄さんのロングインタビューを再録
【長嶋茂雄さんロングインタビュー特別再録】永久不滅のV9伝説「あの頃は試合をしていても負ける気がしなかった。やっていた本人が言うんだから間違いないよ」
週刊ポスト
山尾志桜里氏(=左。時事通信フォト)と望月衣塑子記者
山尾志桜里氏“公認取り消し問題”に望月衣塑子記者が国民民主党・玉木代表を猛批判「自分で出馬を誘っておいて、国民受けが良くないと即切り捨てる」
週刊ポスト
“超ミニ丈”のテニスウェア姿を披露した園田選手(本人インスタグラムより)
《けしからん恵体で注目》プロテニス選手・園田彩乃「ほしい物リスト」に並ぶ生々しい高単価商品の数々…初のファンミ価格は強気のお値段
NEWSポストセブン
オンラインカジノを利用していたことが判明した山本賢太アナウンサー(ホームページより)
フジテレビ・山本賢太アナのオンラインカジノ問題で懸念される“局内汚染”「中居氏の問題もあるなかで弱り目に祟り目のダメージになる」
週刊ポスト
「〈ゆりかご〉出身の全員が、幸せを感じて生きられるのが理想です。」
「自分は捨てられたと思うのは簡単。でも…」赤ちゃんポスト第1号・宮津航一さん(21)が「ゆりかごは《子どもの捨て場所》じゃない」と思う“理由”
NEWSポストセブン
都内の人気カフェで目撃された田中将大&里田まい夫妻(時事通信フォト/HPより))
《ファーム暮らしの夫と妻・里田まい》巨人・田中将大が人気カフェデートで見せた束の間の微笑…日米通算200勝を目前に「1軍から声が掛からない事情」
NEWSポストセブン
浅草・浅草寺で撮影された台湾人観光客の写真が物議を醸している(Xより)
「私に群がる日本のファンたち…」浅草・台湾人観光客の“#羞恥任務”が物議、ITジャーナリスト解説「炎上も計算の内かもしれません」
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問されている秋篠宮家の次女・佳子さま(時事通信フォト)
《スヤスヤ寝顔動画で話題の佳子さま》「メイクは引き算くらいがちょうどよいのでは…」ブラジル訪問の“まるでファッションショー”な日替わり衣装、専門家がワンポイントアドバイス【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
2013年大阪桐蔭の春夏甲子園出場に主力として貢献した福森大翔(本人提供)
【10万人に6例未満のがんと闘う甲子園のスター】絶望を支える妻の献身「私が治すから大丈夫」オリックス・森友哉、元阪神・西岡や岩田も応援
NEWSポストセブン
ブラジル公式訪問中の佳子さま(時事通信フォト)
《佳子さまの寝顔がSNSで拡散》「本当に美しくて、まるで人形みたい」の声も 識者が解説する佳子さま“現地フィーバー”のワケ
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 食卓を汚染する「危ない輸入冷凍食品」の闇ほか
「週刊ポスト」本日発売! 食卓を汚染する「危ない輸入冷凍食品」の闇ほか
NEWSポストセブン