総務省消防庁が発表した平成29年夏の『熱中症による救急搬送状況』によると、搬送人数および死亡者数がいちばん多かったのは7月。例年日本列島が梅雨明けする月だ。搬送された人の年齢区分では、半数近い48.9%が65才以上の高齢者だった。
肝心の対策は、日常と緊急時と2段階ある。暮らしの保健室・室長の秋山正子さんが言う。
「まず普段の日常生活では、3度の食事をしっかり取ること。みそ汁や野菜などに含まれる水分も、体には欠かせない補給源。食欲がなくて1食抜けば、栄養はもちろん水分も大きく不足します。
また食事のほかに飲み物などで水分補給をすること。一度に多量に飲むと、排出されやすくなるので少しずつこまめに。『コップや湯飲みに1杯を1日に8回』を目安にするとよいでしょう。
お茶でも牛乳でも好きな飲み物でOK。ただしコーヒー、紅茶、緑茶などカフェインの多いもの、ビールなどのアルコール類は利尿作用があり、尿で体外に排出される水分も増えるので注意を」(秋山さん。以下「」内同)
そして重要なのは“かくれ脱水”の兆候がある時、熱中症の疑いがある緊急時だ。
「脱水を速やかに解消するためには、体液の成分に近い“水と塩分(ナトリウム)”を摂る必要があります。簡単なのは経口補水液。脱水状態を解消するため、水分と塩分、吸収をよくするための糖分を配合しています。市販品も便利ですが、自分で作ることもできます。
ちなみに同じく吸収されやすいスポーツドリンクは、糖分が多めに含まれています。平常時、運動をする時などに飲めば、エネルギー源にもなってよいのですが、水分の吸収は幾分遅く、一刻も早く脱水を解消したい時には経口補水液が最適です。
また脱水時に水やお茶など塩分を含まないものを飲むと、体液が薄まって利尿を促し逆効果。牛乳やジュースも消化に時間がかかるため、速やかな水分補給には不適です」
さらに注意したいのは、高齢者ののみ込む機能の低下だ。
「加齢により誰でも嚥下機能が衰えますが、脱水時にはさらにのみ込みが悪くなり、慌てて液体を流し込むと、むせて誤嚥することもあります。そんな時は『経口補水液』のゼリータイプがおすすめ。パックから少しずつ口に含むとツルンとのみ込めます」
ゼリーで少し落ち着いてから、ドリンクタイプをゆっくり飲むとよいという。
「脱水はぜひ注意したい症状の1つ。でも高齢者はほかにもいろいろな病気も抱えていて、水分摂取を制限されていることもあります。持病のある人は、脱水・熱中症対策も併せてかかりつけ医に相談を。上手に夏を乗り切ってください」
※女性セブン2018年7月12日号