国内の認知症患者は462万人(2012年調査)に達しており、実に65歳以上の7人に1人が罹患しているといわれる。
発症の詳しいメカニズムは不明だが、「薬の服用」によって認知機能低下が起こることはかねてより指摘されている。
1987年のイギリスの研究では、記憶力の低下など認知機能障害が生じた60歳以上の308人のうち、35人(11.4%)に薬剤の影響が認められている。
日本でも、多くの処方薬で認知機能が低下する副作用が報告されている。そこで本誌・週刊ポストは、厚労省所管の独立行政法人・医薬品医療機器総合機構(PMDA)が公開する医療用医薬品およそ1万5000の中から、添付文書の副作用欄に「認知障害」「認知機能障害」「認知症」と記載された薬の商品名をリストアップした(関連記事〈副作用で認知機能障害を引き起こす“有名薬”リスト20〉参照)。
それらは「高脂血症治療剤」「頻尿・尿失禁治療剤」「疼痛治療剤」「抗がん剤」「抗精神病薬・躁病治療剤」「抗ウイルス剤」に大別される。
これらを服用した際、「物忘れ」と「意欲の低下」が見られることがあると指摘するのは、榎本内科クリニック院長の榎本睦郎医師だ。
「昨日の夕飯に何を食べたかなど最近の行動を忘れやすくなったり、髭や髪などの身だしなみを整えられなくなるのが典型的な症状です。経験則として、薬を服用後、1~2か月かけてゆっくりと症状が進行していくことが多い。
患者自身が認知機能低下の副作用に気づくことは極めて難しく、家族から医師が相談を受けて見つかることがほとんどです」