今年に入り、テレビ業界で意外な人物が重宝されている。X JAPANのボーカルToshlだ。音楽バラエティはもとより、お笑い番組でコントに挑戦したり、ドッキリで仕掛けられたり、仕掛け人になったり。また、無類のスイーツ好きをカミングアウト。番組でスイーツの準レギュラーコーナーも持つほどの人気ぶり。7月8日放送の『国民1万人がガチで投票! アイス総選挙 2018』(テレビ朝日系)では、“スイーツ好き代表”として初のプレゼンターに挑むなど、この上半期、テレビ業界に最もコミットした一人といえる。ロック歌手であるToshlは、なぜ急にバラエティに出始めたのか。
バラエティ進出のきっかけは、2015年6月にスタートした動画アプリの番組『ToshlのスウィーツKURENAI』だった。Toshlが視聴者の悩みに答えながら、X JAPANの名曲『紅』にのせてスイーツを紹介するという異色の番組だ。Toshlが振り返る。
「当時の僕は“洗脳”の闇から抜け出したばかりで、まだ塞ぎ込んでいた。話をいただいた時は、自分が笑い者になるような気もしたし、何より僕自身バラエティを見下していた部分があって乗り気ではなかったんです。“気に入らなければその場でひっくりかえしてやれ”と内心思いながら収録現場に行くと、女性スタッフが細い腕で重い撮影機材を抱えていたり、多くのスタッフが番組のために汗をかいていたりと一生懸命頑張っている姿を見て、自分の態度に違和感を覚えたんです。
それまでは自分が中心でカメラに映されて当たり前と奢っていた。番組ディレクターさんに依頼されても、“そんなことできない!”と突っぱねたこともありました。簡単に言えば調子に乗って偉そうにしていたんです。
でも、スタッフひとりひとりの力で、自分は再びここに立たせてもらっているのだと感じた時、恥ずかしい気持ちになったんです。みんながいい番組を作ろうと黙々と仕事されている中、自分だけ不機嫌って何様なの? 大人げないなと」