真夜中でも開いていて、安くていろんなモノが置いてある。いつも混んでいて、通路も狭くて通りにくいけど、あれこれ見ているうちについ楽しくて、宝探しをするみたいに夢中で買い物していた…。ドン・キホーテに行った時に感じるそんな気持ちを味わえるコンビニに早速行ってきた。その不思議な魅力を紹介する。
「子供たちが一目散にゲームコーナーに駆け寄って母親におねだりしたり、“何これ、すごい!”と話すカップルの声が聞こえたり、皆さん驚きと珍しさを持って、楽しそうに店内をご覧になっていました」(ユニー・ファミリーマートホールディングス広報部)
低迷する小売り業界で、ドンキホーテホールディングス(HD)は28期連続増収増益。昨年は8288億円の売り上げを達成した。
昨年ユニー・ファミマHDと提携を開始してからは、総合スーパー「アピタ」や「ピアゴ」を業態転換した「MEGAドン・キホーテUNY」を共同展開し、その売上・客数ともに、従来の約2倍の高業績を生み出している。
これに続き今年6月、ファミリーマートとドン・キホーテの共同実験店舗がオープン。ファミマに“ドンキ流”を取り入れるという。
なぜドンキは強いのか、オープンしたばかりの「ファミリーマート立川南通り店」(東京・立川市)にお邪魔した。
◆ドンキ流にマニュアルなし
お店の外観は、見慣れたファミリーマートの看板に「PRODUCED BY ドン・キホーテ」の文字が加えられただけ。しかし店内に入ると、駄菓子やゲーム、パーティーグッズにお酒など、さまざまなモノが所狭しと並べられている。
客の中には「本当にコンビニ?」と思わず確認する人もいたほどだ。ドン・キホーテ東日本営業本部長の竹内三善さんが話す。
「ドンキは全国どの店舗も同じではなく、お店ごとに売り場スタッフが地域のニーズを汲み取り、仕入れや価格設定を行っています。この実験店舗でも、お客様のニーズに合わせて商品を選定した結果、取り扱い商品数は改装前の1.5倍(約5000種類)に増えました」
天井から商品を吊り下げたり、大型ポップで賑やかな売り場作りを行うのもドンキならでは。
「見ても楽しいし、商品自体にインパクトがあれば手に取りたくなります。空間すべてを有効に使いたいというドンキらしい販売手法です」(コンビニジャーナリストの吉岡秀子さん)
その他、段ボールに商品が入ったまま店頭に出して販売する無造作さもドンキならでは。
「確かにそうした販売手法が“ドンキらしさ”を作り、それが売り上げにつながっています。しかしこれは、マニュアルがあるわけではなく、すべて売り場スタッフが独自に工夫して培ったものなんです」