7月6日、地下鉄サリン事件などで死刑が確定していた、オウム真理教の元教祖・麻原彰晃(本名・松本智津夫)死刑囚ら7人の死刑が執行された。上川陽子法相は記者会見で、「被害者の苦しみは想像を絶するものがある。慎重にも慎重な検討を重ねたうえで命令した」と述べたが、かねてより死刑執行の「Xデー」については、様々な憶測が飛び交っていた。
今年3月には、東京拘置所に収容されていたオウム確定死刑囚13人のうち7人が全国の拘置所(支所含む)に移送され、「執行準備か」との観測が一気に広がった。共犯事件の死刑囚は同日に執行されるのが原則。移送し分散させることで刑場を確保し、一斉執行に備えているという見方だ。
それではなぜ、死刑執行は「このタイミング」で実施されたのか。
「来年2019年には天皇の生前退位という一大イベントがあり、恩赦も予定されている。再来年には東京五輪が控え、オウム死刑囚の執行は“今年しかない”との暗黙の了解が法務省内にはあったのではないか」(司法記者)
そのうえで、8月に入れば自民党総裁選の準備に政治家は忙しくなる。9月の総裁選が終わり、内閣改造で法相が替わることがあれば、すぐに執行命令書にサインできる状況ではなくなる。だからといって年末に近づけば目前に迫った生前退位の祝賀ムードに水を差しかねないので適切でないとの声も出てくるだろう。
これ以上先延ばししてしまうと執行の機会自体を失ってしまう、ということで、「このタイミングしかなかった」というのが実情のようだ。