縮小が続くビール消費と反比例するように、毎年伸長しているRTD(レディ・トゥ・ドリンク=栓を開けてそのまま飲める低アルコール飲料)市場。
RTDというとすぐに思い浮かぶのは缶チューハイだが、RTDの括りにはハイボール缶やカクテル系飲料なども含まれる。そして、缶チューハイの年間販売数量に肉薄する規模になっているのがハイボール缶だ。特にここ3、4年の伸び率は、缶チューハイをも上回っている。
缶チューハイ市場はサントリースピリッツとキリンビールが2強だが、ハイボール缶に関しては、サントリーが圧勝で首位。洋酒市場でトップなのだから当然だが、販売ボリュームの多い順に「角ハイボール」「トリスハイボール」「ビームハイボール」がその中核を占めている。
ハイボール缶市場は2009年から10年にかけて一度、大きく伸長したものの、2011年から2013年は横這い、ないし減少とやや踊り場になったが、前述したようにここ数年は再び人気が出て販売数量を伸ばしている。
焼酎やウイスキー、ウオッカなどの蒸留酒は、ビールや日本酒、ワインなどの醸造酒に比べてカロリーや糖質が低いので、ダイエットを考える人ならビールよりハイボール缶だ。ただし、割るのが純粋な炭酸水ならばという条件が付き、コークハイやジンジャーハイなどの甘めの炭酸ソーダで割った場合はカロリーや糖質は上がってしまう。
いずれにせよ、ハイボール市場が伸びていることで、サントリー以外のメーカーも力を入れ始めた。
去る6月20日、同じ日にハイボールに関する発表会を行ったのがアサヒビールとキリンビール。アサヒは六本木ヒルズ内に期間限定で「ブラックニッカジャーハイBAR」を出し、ハイボールの新しいスタイルとして、「ブラックニッカ」にハーブやスパイス、フルーツなどを仕込んで炭酸で割った、甘くないハイボールという触れ込みの、いわば飲み方を提案。
また、この7月18日からはコンビニ限定販売で「ニッカ淡麗辛口ハイボール」を出す予定で、瀬戸内レモンエキスと強めの炭酸が特徴だという。
一方、キリンビールは7月10日、輸入スコッチウイスキー「ホワイトホース」のハイボール缶を発売する。キリン・ディアジオ社長の西海枝毅氏はこう語っていた。