◆すでに2割近いシェア
従来の紙巻たばことは異なり、加熱式たばこは、専用たばこを専用機器で加熱したり、蒸気化させたリキッドをたばこ葉の詰まったカプセルに通したりすることで、ニコチンを含んだ蒸気を吸う。火をつけて燃やさないためタールなどが発生せず、紙巻たばこと比べると、有害物質は約9割低減されているとされる。
一方、海外では「VAPE(ベイプ)」と呼ばれる電子たばこが一般的だ。これはたばこ葉を使用せず、ニコチンを含むリキッドを加熱して蒸気を発生させて吸う。日本ではニコチンを含むリキッドの販売は厚生労働省の許可が必要なため、国内で販売されている電子たばこは基本的にニコチンが含まれていない。
いずれにしろ、その健康被害については発売から日が浅く、長期的な影響を判断するには時間を要するため、WHO(世界保健機関)でも「受動喫煙のリスクについて科学的根拠は十分でなく、さらなる研究が必要である」との見解を示し、世界的に見ても規制は国ごとに異なっている。
世界的な科学的知見が定まっていない中、すでに国内の加熱式たばこのシェアは2割近いとされ、今後も市場拡大が見込まれている。JTの「プルーム・テック」はより臭いなどを減らすべく、200~300度の高温で加熱する「アイコス」や「グロー」に対して、30度ほどの低温加熱としてきたが、「吸い応えが弱い」との指摘もあり、今後、プルーム・テックの改良版や他社のような高温加熱タイプも投入予定だという。
消費者の間では「煙や臭いが少ないとはいえ、特有の臭いが鼻につく」といった評価も聞かれるが、「これなら煙や臭いも気にならない」という声が少なくない。それゆえ、新宿や渋谷、池袋といった都内のターミナル駅周辺では「加熱式たばこ、電子たばこ専用喫煙所」を謳うスポットが増え始めている。