NHK・Eテレ『きょうの料理』をはじめ、広くメディアで活躍している“ばぁば”こと日本料理研究科の鈴木登紀子さん(93才)。夏が旬のきゅうりの魅力や美味しい食べ方を教えてくれた。
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今は一年中、出回っていますが、きゅうりは夏が旬。パリッと艶やかな青緑色が目に飛び込んでくると、そのエネルギーに惹かれ、思わず手に取ってしまいます。
乱切りにしてお塩をふり、レモンをギュッと搾って冷蔵庫でうんと冷たくしましょう。ああ、そうだわ、みょうがが残っていたはずだから、あれも刻んで一緒に和えて…。
るんるんと帰宅し、野菜庫を開けると、なんとそこには、大袋に入った先輩きゅうりたちが(笑い)。いやぁねえ、と苦笑いしながらも後悔はありません。95%が水分でカリウムが豊富なきゅうりは、食いしん坊で暑がりのばぁさまにはありがたいお野菜ですから、生まれ持っての丈夫な歯でぽりぽりといただきます。
最近では品種改良で、「苦くない」苦瓜なども出回っていますが、苦味やえぐみ、辛味もうまみのうちです。
きゅうりも昔は、えぐみがたいそう強かったのよ。ツンツンしたトゲがあって、皮も硬くて。だから昔のお母さんたちは、塩をまぶしてまな板の上できゅうりを転がす「板ずり」をしてトゲや青くささを取ったり、「立て塩」で苦味をやわらげたのです。
◆野菜のカドを取る「立て塩」の妙味
今どきのきゅうりは塩もみ程度ですぐにいただけますが、立て塩はぜひ覚えていただきたいの。
その方法はとっても簡単。海水と同じくらいの濃度(3%)の塩水(水1カップに対して塩小さじ1強)に、薄切りにしたきゅうりをつけるだけです。きゅうりに限らず、にんじんやキャベツなどにも応用できます。
しんなりとしているのに歯当たりがよく、ほんのりと塩気が効いて、シンプルな味つけで充分おいしい。とくにお酢との相性は抜群ですよ。
■『うざく』 の作り方
【1】きゅうりはなりくちとお尻を落として小口切りにし、立て塩につけてしんなりさせ、きつく絞っておく。
【2】うなぎの蒲焼きは軽く蒸すかオーブンで焼いてふっくらとさせ、小さめのひと口大に切る。
【3】小さなボウルに酒・だし汁各大さじ2、砂糖・薄口しょうゆ各小さじ1を合わせて混ぜておく。
【4】別のボウルに【1】と【3】を入れて軽く混ぜ、【2】を加えてさっと和える。器に盛って梅酢しょうがの小口切りを天盛りにする。
※女性セブン2018年7月19・26日号