作画を兄が、文章とストーリーを妹が担当する兄妹ユニット「おぷうのきょうだい」さんが描いた漫画『俺、つしま』は2017年、彗星の如くツイッターに登場した。愛猫家を中心にたちまち話題となり、4月26日に書店に並ぶや驚異の売れ行きで全国の書店から姿を消す。その後版を重ねて、現在は発売2か月で10万部を突破している。
その『俺、つしま』の魅力について、絵本『ネコヅメのよる』の作家・町田尚子さんが語る。
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つしまとおじいちゃんが、まさにウチの猫と私のようで笑いながら読みました。まず、飼い猫の白木(♂・17才)がつしまにそっくり。カレンダーに出てくるような愛くるしい美猫とは対照的で、目つきが悪くてぶすっとした表情。そこがいいんですよね。「このかわいさがわかるのは私だけ!」と言いたくなるんです。
そして、おじいちゃんの姿も私そのもの。冒頭で、おじいちゃんが「こんなにやせて」というシーンがあります。つしまは客観的に見て決してやせてないのに、お腹を空かせていてガリガリに見えてしまう。この気持ちが痛いほどわかります。私はウチの白木が病気になった時、やせていくのが心配でどんどん食べさせていました。それでも白木はやせ細る一方。ところが、病院で体重を測ると、太っていたんです! 実際は闘病中に1㎏も太っていたのに、やせ細ってかわいそうに見えてしまうなんて、どうかしていますよね。
虫嫌いなのに、猫が出入りできるように窓を開けている溺愛っぷりも面白い。私の場合、窓は開けませんが、私がトイレに行くと白木が心配すると思って9年間ドアは開けっ放し。1回もトイレまで来てくれたこと、ありませんけどね。われながらバカだと思いますよ。それでもいいんです。おじいちゃんが言うように、「いてくれてありがとう」という気持ちなんですよね、猫には。
※女性セブン2018年7月19・26日号