球界では、常に「億」を稼ぐスター選手が活躍するとは限らない。エースが平凡なバッターに打たれたりすることがよくある。
逆に、大打者が苦手とするピッチャーを見ていくのも面白い。侍ジャパンの4番、DeNA・筒香嘉智(26)は阪神の中継ぎ高橋聡文(35)に対して、通算の対戦成績が23打数2安打で打率は0割台。三振は7つも喫している(7月4日終了時点、以下同)。
「対筒香のワンポイントで登場してきっちり打ち取る場面もある。筒香はインハイの速球で勝負してくる投手が苦手で、高橋も速球で押すタイプではありますが、あんなにも打てないものですかね……」(阪神番記者)
トリプルスリー男、ソフトバンク・柳田悠岐(29)は、日本ハムの中継ぎ・鍵谷陽平(27)に対して昨年まで通算成績で9打数ノーヒットに抑えられていた。
「年俸5000万円の鍵谷が5億5000万円プレーヤーの柳田を完璧に抑えているんだから、痛快でしたよ。今季に入ってからは柳田も打っていますが、まだ苦手意識はあるはず。終盤戦でも大事な場面でぶつけていくのではないか」(日本ハム球団関係者)
バッターの側も苦手意識を持つと、負の連鎖に陥っていくようだ。V9時代の巨人キラー、元大洋の平松政次氏はこんなエピソードを明かしてくれた。
「僕は長嶋(茂雄)さんとの通算対戦成績は打率.193、8本塁打でした。長嶋さんは僕に抑えられると、球場から帰ったあと、親交の深い実況アナウンサーの深沢弘さん(当時、ニッポン放送)を自宅に呼び、“平松のフォームを真似てシャドーピッチングしろ!”と言って、朝まで素振りをしたそうです。ただ、その代わりなのか僕は王(貞治)さんにはよく打たれた(通算で王氏が打率.370、25本塁打)。やはり相性というのはあるんですよね」